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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん


暗めで重たげだった髪は所謂ショートカットと呼ばれるほどに短くなり、髪色もかなり明るめのトーンに変わった。そして何より自分で驚いたのは前髪の変化だ。長くぱっかりと分けていた前髪は眉毛にかかるくらいまで短くなり、ぱっつんという程ではないが切りそろえられており、随分と雰囲気が柔らかくなった気がする。


「その輪郭と顔のパーツで、あの髪型はどう考えても似合わねえ。肌の色的にも今の色が一番合ってる。自分で見てどうだ?」

「……こんな髪型…自分に合うなんて…考えたこともなかった…」


鏡に映る自分は、随分とあか抜けており、自分でそう思うのはいささか恥ずかしくはあるが、髪型を変える前の自分よりは”かわいい”と言えるような気がした。


「…最高っす!可愛いっす!さっすが美術教師である宇髄さんの見立てっす!」

「…え!?」


”美術教師”


…宇髄さんが…教師…?…うそでしょ?こんな…派手で目立つ見た目で?


あまりにも予想だにしていないその言葉に私が目を丸くしていると


「お前…すんげぇ失礼なこと考えてんだろ?」


目をジトリと細め、低めの声で宇髄さんにそう言われてしまった。


「…だって…そんな派手な外見の教師…私は見たことありません」

「俺もっす」

「時代の最先端ってやつだよ。よし。じゃあ次行くぞ。休みだってのに悪かったな」


そう言って宇髄さんは再び私の手を取りお礼を述べ、店を後にしようとする。


「…あ!…ちょと!お金!支払いがまだ済んでいません」


私が慌てて宇髄さんを引き留めようとするも


「金は良いっす。その代わり、カットモデルとしてSNSにbefotr・afterの写真載せさせてもらうんで!いやぁいい素材を連れてきてもらってありがとうございました!」

「だろお?俺様の目を甘くみんなよ。じゃ、またな!」

「うっす!また待ってます!」

「え!?…あ…ちょっとぉ!」


2人の流れるようなやり取りに追いつけず、結局支払いをしないまま私は美容室を後にすることになってしまったのだった。


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