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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん


店に着いた時も同じだった。

”凄いイケメン!”
”芸能人かなぁ?”

こそこそと話している声が聞こえ、その後その連れである私を見ると

”え?あれ彼女?なんであんな子と?”

そう言った人さえいた。


あぁまたこのパターンか


そう思っていた私の肩を


グイ


宇髄さんが個展会場の時と同じように抱き寄せ


「ほら。いくぜすずね」


と見せつけるようにしながら席へと連れて行ってくれたのだった。





そんな行動に私の心は救われた。





「ほら、さっさと行くぜ」


そんな風に私がこの店に来た時の出来事に思考を奪われていると


「…っ待ってください!」


宇髄さんはさっさとお店を出て行ってしまい、私は慌ててその背中を追いかけたのだった。







————————————







「あれぇ?天元さんじゃないっすか!?ていうか、女の子をここに連れてくるなんて珍しいっすね!?しかもいつも連れてる派手な感じの子たちと全然違うタイプじゃないっすか!?デートっすか!?どうしたんすか!?」

「お前うるせえから。すずねが引いてんじゃん。ちょっと黙れよ」

「おっと!失礼しました!」


宇髄さんに連れてこられたのは小洒落た美容室だった。休業日なのか休憩中なのかどちらかはわからないが

"closed"

と看板が出ていたのにも関わらず、全く気にする素振りもなく我が物顔で中に入っていく宇髄さんに驚愕したが、どうやら会話の内容からして宇髄さんの後輩か何かなのだと想像がついた。けれども


…なんで…美容室なんだろう?


なぜ自分がここに連れてこられたのかよくわからず、私はただその2人のやり取りを呆然と見ていた。

そんな私の腕を宇髄さんがグイッと優しく引っ張り、宇髄さんの前へと移動させられる。そして後ろから私の両肩にその手を置き


「休みのところ悪ぃんだけど、この子の髪、切ってやってくんねぇ?」

「…え?」


そう言いながら私を差し出すように、その後輩と思われる男性の方にグッと押してきた。


「…俺は良いっすけど…」


後輩さんは、そう言いながら私の表情を伺うようにじっと見てくる。




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