第24章 私の全て、余す事なくもらってください✳︎不死川さん※裏表現有
「ね?羽根みたいに軽いって言ったでしょ?」
「お姉さんすごいね!最近は小夏のお父さんだって重い重いって言って大変そうなのに!」
「そうなの?じゃあ小夏ちゃんのお父さんより私のほうが力持ちかもね。あ、そうそう、私はすずねっていうの」
「すずねちゃん!かわいいお名前ね!何すずねちゃんって言うの?」
女の子こと小夏ちゃんにそう尋ねられ、私はフッと大通りに向け歩いていた足を止めてしまう。
”不死川すずね”
そう言えればよかったのに、私はまだ柏木すずねのままだ。
いつになったら籍を入れてもらえるのかな
そんなことを考えていると、昨晩の出来事が思い出され、心がズンと重くなった。
「…どうかしたの?」
心配気な小春ちゃんの声が聞こえ
駄目駄目。私が落ち込んでたら、小夏ちゃんが不安になっちゃう
そう思い
「…何でもないよ!私は柏木すずね!もうすぐ不死川すずねに変わる予定なんだけどね」
そう自分に言い聞かせるように明るい声で言い、大通りへと再び歩き始めた。そんな私の言葉に
「えぇ!?すずねちゃんもうすぐお嫁さんになるの?」
小夏ちゃんははしゃいだ様子で私にそう尋ねてきた。
「その予定だよ。でも、なかなかもらってもらえなくてねぇ…最近悩み中なの」
「なにそれぇ!ひどい人ね!小夏がその人に一言言ってあげる!」
「…ふふっありがとう。それじゃあまずは、お父さんとお母さん、探そうか?」
「…あ…忘れてた」
「あははっ!忘れちゃ駄目よ?」
そんな風におしゃべりをしながら街を歩き回ること数時間。
「「小夏ー!!!」」
「お父さん、お母さん!!!」
ようやく小夏ちゃんのご両親を見つけることが出来た。
同じ街の中にいることは間違いなかったのに、何故かなかなか見つからず不思議に思っていたが、よくよく話を聞いてみると、何度も何度もうまい具合にすれ違っていたようだった。
その後お礼に昼食をと誘われ
あんまり遅くなっちゃうと実弥さんが心配するかな…
と思いはしたが、小夏ちゃんに”どうしてもだめ?”と悲しげにお願いされてしまえば、”喜んで!”と首を縦に振る他なかった。