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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第24章 私の全て、余す事なくもらってください✳︎不死川さん※裏表現有


そこにある小さな箱の横の隣に、ただでさえ小さな身体をさらに小さくし、目をぐしぐしと両手でこすりながら泣いている女の子の姿がそこにあった。


「こんにちは。どうしたの?迷子になっちゃったのかな?」  


なるべく怖がらせないように、優しく静かにそう問いかけながら女の子の視線と高さが合うようにしゃがみ込む。

自分が話しかけられていると気が付いたその子はぐにゃりとその表情を大きく歪め


「お父さんと…お母さんが…いないのぉ…」


その瞳からボロボロと大粒の涙をいくつも流し始めた。


「そっかそっか。それは怖かったね。でも私が一緒に探してあげるから安心して」


私がそう言いながらその子に笑いかけると


「…本当…?」


ひっくひっくと横隔膜を痙攣させ、私の目を縋るようにじっと見詰めながらそう言った。

その様子から、両親とはぐれてから結構な時間が経過してしまってる事が伺い見え、一刻も早くこの子をご両親の元へ連れていってあげたいと思った。

女の子にくるりと背中を向け


「さあ!探しに行こう!乗った乗った!」


首だけ後ろを振り返りながら私がそう声を掛けると


「…え?でも私…結構重いのよ?」


女の子が不安気にそう尋ねてくる。


「ふふふ。私、実はこう見えておんぶは大得意なの。今はそうする機会もなくなっちゃったけど、自分と同じくらいの大人の人をおんぶして走り回っていたこともあるからね。それに比べたら、こんな可愛らしいお嬢ちゃん、羽根みたいに軽く感じちゃう」

「えぇー!嘘だぁ!」


まだ涙は止まりきっていないものの、私の言葉に女の子は先ほどの沈み切った表情から少し明るい表情に変化していく。


「嘘なんかつかないよ。じゃあ証明してあげるから、はい、乗って頂戴?」

「…わかった。行くよ?」


そう言って女の子は私の背中に遠慮がちに乗っかってくる。

背中にしっかりとした重みを感じ、落さないようにしっかりと足を腕に巻き込むと


「よいしょ」


スッと立ち上がった。


「ほらね?全然重くない。むしろこんなかわいい子をおんぶさせて貰えるなんて、うれしくって力が湧いてきちゃうくらい!」


私がそういいながら軽くぴょんぴょん跳びはねると


「きゃははっ!落ちちゃう落ちちゃう!」


女の子はケラケラと明るい声で笑ってくれた。


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