第23章 呪いの言葉、つるぺったん✳︎煉獄さん※裏表現有り
「杏寿郎さん。私、食材を買いに出かけてきます。何か食べたいものありますか?」
私がそう杏寿郎さんに尋ねると
「商店街に行くのだろう?俺も一緒に行こう」
とそう言ってくれたのだった。
「え?でも…任務明けで疲れていませんか?」
私がそう尋ねると、
「いいや!疲れていない!どちらかと言えば俺よりも君の方がまだ疲れているだろう?荷物も多くなってしまうだろうし、君と買い物に行くのは夫婦のようで嬉しくもある。だから一緒に行かせてくれ!」
そんな風に言われてしまったので
「…っ…はい…」
頬が熱くなるのを感じながらそう答えたのだった。
塩もみしたら美味しそうだな
そんなことを考えながらきゅうりとナスを見ていると、自分が肝心なものを買っていないことを思い出した。
「杏寿郎さん!私さっきのお店でお塩を買うのを忘れてしまいました!戻って買ってくるのでここで待っていてもらえますか?」
先ほどのお店にはお塩目当て立ち寄ったはずなのに、珍しい香辛料に気を取られ肝心のお塩を買い忘れていた。
「ならば俺が戻って買って来よう。すずねはここで野菜を買っていてくれ」
「本当ですか?いつものお塩、わかります?」
「うむ!1度君に頼まれ容器に移し替えたことがあるからな!その袋なら覚えている」
まだお野菜を見終わったわけではないので効率を考えれば、杏寿郎さんにお塩を買ってきてもらった方が確実に良いと言える。
「それじゃあ…悪いんですけどお願いします」
「任せてくれ!」
そう言って杏寿郎さんは、心なしか嬉しそうにしながら来た道を戻り、先ほどのお店へと向かっていった。
さて、私もお野菜を選んじゃおう。
少しでも杏寿郎さんの力になりますように。
少しでも私が作る食事で杏寿郎さんの心が安らぎますように。
そんな気持ちを込め、野菜を一つ一つ手に取り選んでいく。
「ほら!やっぱりそうだ」
「本当だ。あんなに真剣になって野菜を選べるなんてねぇ。お気楽でいいもんだわ」
「…っ!?」
真剣に野菜とにらめっこをしていたため気が付かなかったが、いつの間にそこにいたのか、私に”つるぺったんの呪い”をかけた2人組が少し離れた場所に立っていた。