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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第23章 呪いの言葉、つるぺったん✳︎煉獄さん※裏表現有り


そんな杏寿郎さんに向け


「挨拶の大切さについては良くわかりましたので、どうぞすずねさんを連れて行って下さい。この人ったら、気にしなくてもいいと事前に伝えていたのに、早起きして煮物やら漬物やら味噌汁やらたくさん作ってくれたので」


しのぶ様はそう言いながら私の背中をグイっと杏寿郎さんの方へと押しやった。杏寿郎さんは、当然のように私の身をその身体に引き寄せながら


「そうか。俺はこの子のそういったところもとても好きだ!」


恥ずかしげもなくそう言った。その杏寿郎さんの言葉に、私の胸は甘くキュンっと音を立てる。


「はいはい。朝からごちそうさまです。すずねさん。わかっていると思いますが、休みの間はこちらの事は気にせず、しっかりと心と身体を休めてきて下さいね……まぁ後者は難しいかもしれませんけど」


「………はい。しっかり休みます」


しのぶ様がぼそりと呟いた物騒な台詞は、聞こえなかったことにしよう。


「荷物はどこにある?君の部屋か?」


杏寿郎さんが私を優しく見下ろしながらそう尋ねて来る。


「はい。今すぐ取って来るので、玄関で待っていてくれますか?」

「あいわかった!では胡蝶、すずねを借りていく!」


杏寿郎さんがしのぶ様にそう言うと、


「えぇ。どうか、”くれぐれも”すずねさんの事を頼みましたよ」

「もちろんだ!」


しのぶ様は意味ありげにそう答えた。

そんな二人のやり取りが気になり


「………」


無言で私が杏寿郎さんとしのぶ様の顔を見ていると


「こちらのお話なので、すずねさんは気にしないで下さい」


しのぶ様に、”何も聞かないで下さい”と薄く書かれた満面の笑みで言われてしまうのだった。


「…はい。行ってきます」

「行ってらっしゃい」


そう言いながら手をひらひらと振るしのぶ様は、やはり最高に綺麗でもあり可愛かった。









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