第23章 呪いの言葉、つるぺったん✳︎煉獄さん※裏表現有り
「私としては、アオイもいる事ですし、1日くらいであればすずねさんに、煉獄さんのところでのんびり過ごしてもらうのもいいと思っています。それよりも私が気になったのは、何故すずねさんからではなく、煉獄さんから文でお願いされたかと言う点です」
「確かに。わざわざお手紙を書いて鴉に託すよりも、すずねちゃんを通してしのぶちゃんにお願いをした方が早いし、確実よね」
「………」
私には、なぜ杏寿郎さんがしのぶ様にそんな文を出す行動に至ることになったのか、ひとつだけ覚えがあった。
「その沈黙は、なにか思い当たる節があるということですね?」
しのぶ様からのその問いに、私は黙ってコクリと頷く。そして、
「…実は…私…杏寿郎さんの事を…拒否……してしまったんです」
そうしのぶ様と甘露寺様に打ち明けた。
”…体調がすぐれないのであればしかたない!だが、もし他の理由があるのであれば言ってくれ”
私の服に手を掛けた杏寿郎さんの手を掴み、”今日は体調が悪くてそんな気分になれそうにない”と嘘をついた私に、杏寿郎さんは一瞬悲しげな表情を見せるも、私を気遣うように微笑みながらそう言ってくれた。
けれども、その顔は、明らかに私の言葉が”嘘”であることを見破っていて、それでいて何も聞かないでいてくれたのが私にはわかった。
…すみません、杏寿郎さん。でも…こんな貧相な胸…見られるのが急に恥ずかしくなっちゃったんです…。
そうして同じように、自分の小さな胸が恥ずかしくて拒否してしまう事が2回続いてしまったのだった。
そしてその出来事以降、タイミングが良いのか悪いのか、杏寿郎さんの遠方での任務が入り、会うことが出来ていなかった。
「杏寿郎さんが…そんなことを気にする人じゃないっていうのは私もわかっているつもりです。でも…それでも、あまりにもこのペタンコな胸を見られるのが…どうしても怖くなってしまったんです…」
私が力のない声がそう言うとざぱぁっと大きな水飛沫を立て、両手に握りこぶしを作りながら
「だめよ!だめだめ!」
甘露寺様が立ち上がった。