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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第23章 呪いの言葉、つるぺったん✳︎煉獄さん※裏表現有り


「杏寿郎さんの大きな掌にかかれば両方覆いきることも出来てしまいます。そんな小さい胸…触っても楽しくないですよね?」


だってつるぺったんだもの。


「私もお二人みたいに肩が重いとか、谷間が蒸れるとか、ボタン閉まりにくいとか閉まらないとか言ってみたいです。でも全然重くないし、蒸れないし、ボタン閉まるんですもん」


だってつるぺったんだもの。


「お二人と同じくらいなんてそんな烏滸がましいことは望みません!でも…でもっ…せめて…もう少し…!どうすれば私のこの小さい乳房は大きくなるんでしょうか!?何か…何かいい方法をご存じないでしょうか!?」


穏やかな雰囲気に包まれた秘湯に響く、傍から聞けば馬鹿馬鹿しいとしか言いようのない私の言葉たち。それでも私は、まるで呪いのように私の頭にこびりついて離れてくれない"つるぺったん"をなんとかしたいと必死だった。


「あのぉ…聞いてもいいかしら…」


ちゃぷちゃぷと鳴る水音と、秘湯を囲むように生い茂っている木々の音に負けてしまいそうな小さな声でそう言いながら、甘露寺様がそれはもう遠慮がちに右手を挙げそう言った。


「すずねちゃんが、その…つるぺったんっていう言葉に、とっても傷ついたっていうことはよくわかったわ。でも…私は、煉獄さんはそんなことを気にするような殿方だとは…思えないんだけど…」


秘湯で温まったせいか、もしくは杏寿郎さんと私の胸を結び付けていらぬ想像をしてしまったせいか、どちらが原因かはわからないが、甘露寺様の頬はピンク色に染まっていた。


「…杏寿郎さんは…よく…わかりません。っでもでも!男の人ってみんな乳房が大きい方が好きですよね?乳房が大きくて喜ばない男の人はいないですよね?だって私ですら……」


そう言いながら私は、ぽよんとお湯に浮かんでいるしのぶ様の、そして甘露寺様のそれを何度か交互に見遣り、最後に自分のちっとも浮かんでいないそれをじっと見る。


浮かんでない。
浮かぶ気配もない。
そもそも浮かぶ程ない。


「…っ私ですら揉ませて欲しいって思うんですもん!」


もんっ
もんっ
もんっ


静かな秘湯に、私の虚しい叫びがこだましていた。




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