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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第23章 呪いの言葉、つるぺったん✳︎煉獄さん※裏表現有り


あんな妬みや嫉み。気にしない。真に受けない。だってあの二人は、私の人生において全然大事な登場人物じゃないもん。その辺の石ころと一緒。気にしない。気にしない。大体何度断っても”君と恋仲になりたい!”って、それこそ耳にたこが出来るくらい言って来て、全然諦めてくれなかったのは杏寿郎さんだもん。


自分の心に言い聞かせるようにそう心の中で唱えれば、そんな言葉、うるさい虫の羽音のように気にせずにいられた。

けれども


「えぇ!でもあんなつるぺったん…触ったって何にも楽しくないでしょう!」

「あははっ!言えてるぅ!」

「さっさとフラれればいいのにねぇ」


好き勝手言い続けた二人はようやく満足したのか、きゃはきゃはと笑いながらようやく私の視界から消え去ってくれた。うるさい二人がいなくなり安心したものの


 ”つるぺったん” 


その言葉が重く、重く、それはもうとっても重く、私の心にのしかかった。










「そうですか…そんなことがあったんですねぇ。一体どのお二人でしょう?あの子でしょうか、それともこの子でしょうか」


秘湯につかりながら、青筋と、真っ黒い笑みを浮かべたしのぶ様が顎に手を当て、候補の顔でも思い浮かべているのか、視線を上の方に巡らせながらそう言った。

そのあまりにも恐ろしい様子に、告げ口のようなことをしたのは他でもない私なのにも関わらず、その怒りの矛先であるあの二人に申し訳ないような気持ちさえしてきてしまう。


「それにしてもひどいわ!いくら煉獄さんから愛されているすずねちゃんが羨ましいからって、そんなことを言うなんて…!私、許せない!」 

「ええ本当に。探し出して、是非とも新しい毒の実験体にしてあげたいですね」

「お二人が私のためにそうして怒ってくれるだけで私は十分です!だからそんな顔をしないでください!それに、そんなことよりもですね…」


そう言いながら私は自身の両胸を、どちらかといえば小さいと言える自身の掌で覆った。


「事実、私の胸はこの小さい掌で覆えてしまうほどの小ささ。お二人と比べれば甘夏と金柑」


「…甘夏と」

「…金柑」


しのぶ様は肩を震わせ笑いを堪えながら、甘露寺様は自身のお胸と私のそれを交互に見比べながらそう呟いた。

そんな2人の様子を気に留めることもなく、私は言葉を続ける。




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