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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん


”しまった” 


不死川様はそう言わんばかりの表情をし、


「…眠ぃからさっさと終わらせて出ていけェ」


そっぽを向きながらそう言った。私としてはそんな子どもじみた行動を見せてくれることにも、嬉しさを感じてしまう。


「はいはい行きますよ。今日は順番が逆で、この後冨岡様の所に行って、アオイさんにお使いも頼まれてるから元々長居はできなかったんです…寂しがったら駄目ですよ?」


「んな事あるか馬鹿がァ!」


不死川様は、そう怒鳴るように言った後、ふっと急に真顔に戻る。


「…不死川様?」


どうかしたのだろうかと首を傾げ様子を伺っていると、


「お前、俺が痣の代償で25までしか生きられねぇって…知ってんだよな?」


私の目をじっと真っ直ぐに見据えながら言った。


「…はい。後処理をしているとき…隊士が話しているのを聞きました」


包帯を巻き終え、後片付けをしながら私はそう正直に答える。


「だったらよォ、俺だけじゃなく、冨岡だってそうだって知ってんだろォ」

「…はい」


不死川様が、何を意図して私にそんなことを聞くのかわからず、私は歯切れの悪い返事をしてしまう。


「だったらよォ、俺なんかの所じゃなくて、冨岡の方に行けェ。俺はなァ、哀れみなんざ必要ねぇんだよ。一人で自由気ままに、何にも縛られることなく残りの人生過ごしてぇんだよ」


一体何を言われるんだろうかと、酷く心配したが


「冨岡様の事を心配してらっしゃるんですか?」

「…違ぇよ」


不死川様が言った言葉に、"なんだそんな事か"と安心してしまった。


「冨岡様のことなら全くもって心配いりません!」


自信満々にそう答えた私に、不死川様はグッと眉に皺を寄せながら


「…どうしてそんな事が言える?」


私にそう尋ねてきた。


「不死川様、知らないんですか?冨岡様って、隊士や隠に"不器用すぎるところが母性本能をくすぐられる"ってもの凄く人気なんです!だから放って置いても人はたくさん寄って来るし、蝶屋敷を出たら、暫くは育ての元に身を寄せるって仰っていたので、全くもって心配ないはずです!」


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