第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん
…不死川様のこと…どうすればいいのか聞きたかったんだけどな。
起きている姿を見てから、もう1時間は経過している。どうするべきか迷いはしたが、
いつも行ってるんだし、行こう!出来れば話の続きだってしたいし。
そう思った私は、桶のお湯をきれいなものに変え、不死川様の病室へと向かった。
コンコンといつもの通り部屋の扉を控えめに叩くと
「…なんだァ」
ぶっきらぼうにも聞こえる返事が聞こえ、その声を耳にするだけで、私の胸はドキドキと高鳴った。
「…っ失礼します!」
そう一声掛けてから扉を開く。
「…っ…お前…」
不死川様は入ってきたのが、先ほど自分が”頭がおかしい”と言った相手だとわかると、あからさまに嫌な顔をした。しかしながら、そんな顔されても私は全くと言っていいほど気にならない。
「包帯の交換をしに来ました。もうすでに誰かが交換済みでしょうか?」
私が何事も無かったかのようにそう尋ねると
「…いや…まだだァ」
不死川様は眉を挟ませながらそう答えた。
「では、交換させていただきますね」
そう言いながらニコリと微笑み、ゆっくりと不死川様のベッドに近づく。
「失礼します」
私はいつも通りの手順で包帯を交換しながら
「私、柏木すずねと申します。元隠で、訳あって今は蝶屋敷でお手伝いをさせていただいております」
改めて不死川様に自己紹介をする。
「…あァそうかい」
面倒くさそうな様子でも、返事をしてくれるそんなところも好き。そう好きなの。好きな人には幸せでいてほしいの。幸せになってほしいの。私がそうしてあげたいの。伝えなきゃ伝わらない。受け止めてもらえない。
そんなの無理。
絶対に嫌。
すぅーっと深く息を吸い、
「不死川様!」
「…っ!?」
自分でも思っていた以上に大声で、その名を呼んでいた。突如豹変した私の様子に驚いているのか、不死川様はきょとんとした顔で(嫌だかわいい)私を見ている。