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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん


私は、気持ちを切り替えるように、ゆっくりと1度まばたきをし


「炭治郎君の病室に行くんだよね?私もこれから冨岡様と不死川様の病室に行くの。だからそこまで一緒に行こう?」


と禰󠄀豆子ちゃんを誘った。


「本当ですか!?是非一緒に行きましょう」


そう言うと禰󠄀豆子ちゃんは、私の隣に並ぶように場所を移動した。

鬼だった禰󠄀豆子ちゃんとこうして二人並んで歩くことが出来る。それはもちろん胡蝶様が作ってくれた薬のおかげでもあるが、身を呈して鬼舞辻と戦ってくれた人たち皆んなのお陰だとも言える。そう思うと、感謝という気持ちだけでは足らない熱い何かがぐっと込み上げてくるようだった。

禰󠄀豆子ちゃんと炭治郎君が療養している病室の前で別れ、私はいつもの通り、そこからもう少し奥にある冨岡様の部屋へとまずは向かった。いつもと同じように部屋の扉をコンコンと叩き、返事がないことを確認し、


「失礼します」


といつもの流れでそう言いながら扉を開くと


「…へ?」



パチリとベッドから上半身を起きあげている冨岡様と目が合った。


え?起きてる?返事…なかったよね?え?私が聞き逃したの?


そんな風にプチパニック状態に陥っている私に、


「何か用か?」


とそう尋ねるのが極当たり前のことのように冨岡様は聞いてきた。


「…え…と…包帯を…交換に…来たんですけど…」


私がもごもごとはっきりしない様子でそう答えると、


「そうか」


冨岡様はそう一言だけ言った。

その様子に、"相変わらずの人だなぁ"と思いながらも、この必要最低限しか話さない口下手状態が普通の冨岡様だということは元隠である私にはよくわかっているので、その点に関しては戸惑うことはなかった。

ゆっくりと冨岡様のベッドに近づき、


「それでは、包帯、交換させていただきますね」


私がそう言うと、スッと無言で右腕…があった部分を上げてくれた。


「…失礼します。痛かったらすぐに言ってくださいね」

「わかった」


冨岡様のさんの返事を確認した私は、慎重に、決して痛い思いなんてさせないように、包帯を交換していった。

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