第4章 騒音再び【音好きシリーズ】
ホッと炎柱様は胸をなで下ろすと、炎柱様は再びおにぎりを口に含んだ。
「…聞いてもいいですか?」
炎柱様はチラリと私を見遣り、おにぎりを飲み込む。
「構わない。だが俺が柏木の質問にひとつ答えたら、君にも俺の質問にひとつ答えてもらおう」
と言った。
確かに。私だけ聞くのは平等じゃない。
「わかりました。…炎柱様は、私の何にそんなに興味があるんです?戦い方が変だからですか?音に敏感だからですか?」
炎柱様はその猛禽類のような瞳で私をジッと見た後再び正面に視線を移し、
「自分で言うのもおかしいが俺は割と人に好かれる性分だ。それ故初めて柏木と任務で顔を合わせた際、あまりにも嫌悪を含んだ目で見られ驚いた!理由があるなら知りたいと思い興味が湧いた」
そう言って残りのおにぎりをパクリと一口で食べ
「美味い」
と最初と比べかなり控えめな声で言った。
「…その件に関しては、失礼な態度を取ってしまいすみませんでした。前回お話しさせてもらった通り、私は音に敏感で、体格の良い男性が苦手です。炎柱様は…私のその苦手な条件にピッタリと合致しています。私の変に凝り固まった色眼鏡で、炎柱様を見てしまいすみませんでした」
「いや。もう済んだこと。謝る必要はない。次は俺が君に聞く番だ!」
何を聞かれるのかはなんとなくわかっていた。
「柏木が体格のいい男性に苦手意識を感じるのは何故だ?」
前回の時も聞かれたそれ。炎柱様からの質問内容はきっとそれだろうと思っていた。
「…父親を思い出すからです」
「父上を…?それが何故苦手意識に繋がる?」
「あ。ダメですよ。それじゃあ質問が2つです」
「だが君は俺に3つ質問しただろう?ならば俺もあと2つ質問できるはず」
「え?」
手に持っていたおにぎりから炎柱様に視線移すと、3つ目のおにぎりに手をかけているところで、パッと私と視線が合うと
「何故興味があるのか?戦い方か?音に敏感だからか?合計3つだ」
ニコリと笑いながらそう言った。
確かに3つだ。けれども
「…ずる…」
思わずそう文句を言った私に、
「そんなことはない!」
炎柱様はさらに微笑みを深くし言った。
はぁ
と一度ため息をつき、私は手に持っていたおにぎりをパクリと一口頬張る。
「…美味しい」
「そうだろう」