第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】
お願いだから…もうやめて…恥ずかしくて…爆発しそう。
そんなことを思い、さらにさらに布団の中で丸まっていると、
「なんだ?ギョロギョロ目ん玉と、半々羽織、メスの奪い合いしてんのか?」
空気の読めない、いや読まない、いやいや読む気のない伊之助くんがそう言った。
「…お前、もう少し言い方ってもんがないのかよ」
善逸くんが呆れたようにそう言った言葉に
そうよ。誰がメスよ誰が。
と心の中で突っ込む。
「あぁん?言い方もクソもあるか!んな簡単な事で揉めてるコイツらが悪りぃだろ!」
「伊之助!誰かを好きになるってことはそんなに簡単なことなんかじゃない!煉獄さんと義勇さんに謝るんだ!」
「いや、炭治郎も何も知らないじゃん」
「…っそれは…そうだけど…!」
「はっ!だっせぇな!俺は知ってるぜ!」
その自信満々な伊之助くんの言葉に、直感的に
あ、絶対に碌なこと言わない気がする。
そう思った私は、バッ布団から起き上がり、
"待って!"
と伊之助くんが喋り出すのを止めようとした。けれども、一歩遅く
「森ではなぁ!より強いやつが欲しいメスを手に入れんだ!強くなけりゃメスを手に入れる資格はねぇ!山では強さが全てだぁ!」
と、腕を組み、フンフンと鼻息荒くそう言った。
その言葉に、
いやいや私メス…だけどメスじゃないし。人間だし。というか、そもそもここ森じゃないから。蝶屋敷だから。人間の世界だから。森の中の縄張り争い見たいな感覚で言わないでもらいたいんだけど。
"私は"そう思った。
けれども、
「…なるほど!」
「そうか」
何故か、どうしてか、師範と冨岡さんは納得したような顔をしており、
「冨岡!これからどちらがより強いか、手合わせをしようじゃないか!」
「奇遇だな。俺もそうしたいと思っていた」
「では決まりだな!胡蝶!中庭をかりるぞ!」
何故か意見が合致してしまった2人は、しのぶさんの返事を聞く前に、今にも病室を出て行こうとしている。
だめだめ…っ…止めないと!