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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】


師範がきちゃう前に、なんとか心の準備を…!


そう思っていたのに、


「……誰でしょうね?療養で休んでいる隊士もたくさんいるこの屋敷で、あんなに大きな足音を立てながら廊下を歩く不届き者は」


しのぶさんの言葉の通り、バタバタと騒がしい足音がこの部屋に向かって近づいてくる気配を感じる。私はその足音の主が師範なのではないかとそう思っていた。けれども、


…1人じゃ…ない…?


師範1人の足音にしては数も多いし、なんだかうるさすぎるような気もした。


「騒がしいったらありゃしませんね」


そう言うしのぶさんのこめかみが再びピクピクとと痙攣し始め、カルテを書くために持っているペンもミシミシと音を立てている。


お願いだから…これ以上しのぶさんを怒らせないで…


そう心の中でまだ誰とも知らぬ足音の持ち主たちにお願いするも、


ガラッ


と大きな音を立てながら部屋の扉が開かれ


「柏木!」
「柏木」


「…ッひぃ!」


姿を現したのは、


「怪我はどうだ!?痛くはないか!?腹は減っていないか!?」


部屋中に響く大声で矢継ぎ早に質問を投げかけてくる師範と、何も言葉にはしていないものの、


うんうん


と師範の隣で大きく頷いている冨岡さんだった。


どうして…どうして2人一緒に来るのー!?


パニックに陥った私は、しのぶさんが隣にいるのも忘れ、バサリと布団を被り自分の身を隠す。


すると


「どうした!?何故隠れる!?もしや…顔か!?顔に傷でもつけられてしまったのか!?胡蝶!柏木の傷は大丈夫なのか!?俺は彼女の顔にどんな傷が残ろうとこの気持ちが変わることはない!だが年頃の女子の顔に傷が残ってしまうのは柏木があまりにも不憫!胡蝶のその素晴らしい知識でなんとかしてやってはもらえないか!?」


私のそんな心境がわかるはずもない師範は、何を勘違いしたのか、私のすぐ隣に座っているしのぶさんに詰め寄っているようで、先程よりも近くから師範の声が聞こえる。



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