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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】


幸運なことに(なんて言ったら師範と冨岡さんに失礼だか)、2人から思いの丈をぶつけられて以降、直接顔を合わせる機会はなかった。師範は急な長期任務で遠方へと赴き、冨岡さんの理由はよくわからないが、あれほどちょくちょく顔を合わせていたのが嘘のように会わなかった。


あれから毎日、師範のことを、冨岡さんのことを考えた。けれども何日経っても自分が一体どうしたら良いのか、どうしたいのか答えを出せず、ただただ悩み続けていた。








それがいけなかった。







「最低でも3日間は安静に大人しくしていてください」

「…あの…素振りだけでも…ダメですか…?」


しのぶさんはピクピクとこめかみを微かに痙攣させ


「あらぁ?私の話、聞いて頂けていなかったんでしょうか?安静に大人しくと、言いましたよね?あ、ん、せ、い、に、ですよ?お馬鹿さんじゃないすずねさんなら、わかってくれますよね?」


両手を組み、"ね?"と言いながら首を傾げる。


見惚れてしまうような可愛い笑顔に反し、これまた可愛らしい唇から紡がれてきた言葉の刺々しさに


「…はい…大人しくしています」


言い返せる人がいるのであれば、どうか紹介して欲しい。


「わかっていただけたようでよかったです!あ、この件に関しては、念のためすずねさんの師範である煉獄さんにはお伝えしてありますので」

「…っえ!?師範に…連絡してしまったんですか?」


驚き私がしのぶさんにそう尋ねると、


「ええ。すずねさんが伊之助くんの手でここに運ばれてきた時に、念のために鴉を飛ばしました。間も無く任務が終わるので、終わり次第ここにいらっしゃると返事が来ていますが…なにか問題でもお有りですか?」


しのぶさんはカルテに何かを書き込みながらそう答えた。


「…問題は…ないんですけど…」


普通に考えれば、師範が弟子のお見舞いに来ることなんて普通のことだし、ことが起こる前の私であれば手放しに喜べた。けれども今は、


どんな顔をして…師範に会えばいいんだろう


師範の顔を思い出すだけで胸がドキドキした。そして、師範のことを思い出すと、どうしても冨岡さんのことも思い出してしまい、2人の顔を同時に思い浮かべると、ドキドキがドクドクに変わり、胸がどうにかなってしまいそうだった。


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