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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】


「はい!もちろんです」


水柱様に対して弟フィルター全開になってしまった私は、


慌てて食べたらダメですよ?
よく噛んで食べてくださいね?
お腹は膨れましたか?


と、完全に甲斐甲斐しいお姉さんと化していた。  


水柱様は、サツマイモの炊き込みおにぎりの方もあっという間に平らげると


「…美味かった」


とボソリと一言呟く。

私はその"美味かった"、という水柱様の言葉が本当に嬉しくて、


「それは良かったです!私、大概おにぎりを持ち歩いているので、またお腹が空いていたら、差し上げます!いつでも私のところに来てくださいね」


そんなことを口走っていた。


水柱様はそんな私をじっと見た後、


「…柏木と言ったか?」


そう尋ねてきたので、


「はい!そうです!柏木すずねです!まだまだ新米ですが、炎柱、煉獄さんの継子をしています!」


私は、満面の笑みを浮かべながらそう答える。


「…そうか」


そう言った水柱様の口角が、心なしか上がっていたような気がしたような、しなかったような。更にはなんの脈略もなく、


「俺は、どちらかと言うと、鮭のおにぎりの方が好みだ」


そんなことを私の目をまるで甘えるかのようにじっと見ながら言うものだから(決してそんな事実は存在しないのだが、恐ろしい事に弟フィルターがかかっている私にはそう見えたのだ)、


「わかりました!じゃあ次は鮭のおにぎりをたくさん握って待っていますからね」


私は当然のようにそう答えてしまうのだった。






これが私と弟…もとい、水柱様との出会いだ。








———————————







「柏木」

「はい!師範!なんでしょう?」


鍛錬を終え、いそいそとおにぎりをにぎる私に声をかけてきたのは、私の師範である炎柱、煉獄杏寿郎さんだ。


師範は私の手元をじっと覗き込むと、


「最近何やら頻繁に鮭のおにぎりを握っているようだが…サツマイモの炊き込みおにぎりにはもう飽きてしまったのか?」


心なしか残念そうな声でそう尋ねてくる。


「いいえ!サツマイモの炊き込みおにぎりは今でも大好きです!でも、冨岡さんが鮭のおにぎりの方が良いって言ったので」


私はその問いに対し、包み隠すことなく正直に答える。


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