第3章 週末はあなたと2人で【暖和】※裏表現有
「美味い!」
「うん。美味しい」
たっぷりの甘い液に長時間つけ込んだフレンチトーストは我ながらとても美味しくできたと思う。
「俺が食べたことのあるフレンチトーストは食パンで作ったものだったが、すずねがいつも作ってくれるこのフレンチトーストは特に美味い!」
「ふふっ。ありがとうございます。バケットで作っているんですよ。スープとソーセージおかわりいりますか?」
「いただこう!」
「そろそろ行かなければ」
時計を見ると、針は8時を指し示していた。
「今日の部活は何時から何時までですか?」
「8時半から11時45分までだ」
「そうですか。お昼ご飯は…どうします?」
「先に食べていても良いが、すずねが我慢できるようで有ればどこかへ食べに行くか?」
「本当ですか!?行きます!待ちます!実は近くに行ってみたいラーメン屋さんが有るんです!」
杏寿郎さんはそんな私の発言に
「よもやラーメンとは。君は実に安上がりだな」
と若干の苦笑いを浮かべている。
「…ラーメン…だめですか?」
「いや!俺も好きだ!」
「それでは決まりですね!お腹を空かせて待っています」
「うむ!それじゃあ行ってくる!」
「ちょっと待ってください!」
リュックを背負い家を出ようとする杏寿郎さんを私は慌てて呼び止める。
「…自転車で行くんですか?私、家から出る予定はないので車で行って下さい」
そう言って車の鍵をスッと差し出した。杏寿郎さんは私の手から車の鍵を受け取ると、
「良いのか?ずっと家で待っていて退屈ではないか?」
ほんの少し眉を下げ言った。
「全然平気です。それに…車で行った方が早く帰って来れるでしょう?その方が私は嬉しいので」
そう言ってヘラリと笑う私の腕を杏寿郎さんがグッと引き、
ぎゅぅー
と強く抱きしめられる。
「…杏寿郎さん…どうかしましたか?」
そう尋ねる私に杏寿郎さんは
「そんな可愛いことを言われると、一緒に連れて行きたくなってしまう」
と言い、今度は
「…んむ…っ!」
まるで私の唇を食むように激しく口付ける。
ちぅ…ちゅっ…ちぅぅ
満足した杏寿郎さんの唇がようやく離れていった頃には、私の息はすっかり上がってしまっていた。
「よし!今度こそ行ってくる!」