第3章 週末はあなたと2人で【暖和】※裏表現有
ピピピピピピピピ
目覚ましの音と、胸元をまさぐられるくすぐったさで、私は眠りの世界から現実へと徐々に引っ張り上げられる。
「…んぅ…?」
私の胸元をサワサワとする手を止めないまま、私の頸に唇を寄せ
「すずねおはよう」
と杏寿郎さんが寝起きとは思えないほどはっきりとした口調で言った。
「ん…おはようございます。…今何時ですか…?」
「7時を過ぎたところだ」
「…7時か…杏寿郎さん…したいんですか…?」
モミモミとその大きな手で私の胸を揉み続ける杏寿郎さんに、まだ半分夢の世界に足を突っ込んでいる私がそう聞くと
「したい」
間髪入れずにそう答えられる。
昨日は確か…リビングで1回。その後ベットでも1回したはず。
いったい杏寿郎さんの性欲はどうなっているんだろうか。そして私に拒否権は有るのだろうか、と考えていると
「したい。だが流石にこれから生徒に会うと考えると出来ない」
そう言って杏寿郎さんはとても悲しそうな声を出しながら、私の胸の中心をキュッと摘んだ。
「…んぁ…」
そこまでされれば、流石の私も目が覚めない訳がない。
「…っ言っている事と、やっていることがあっていません!」
そう言って杏寿郎さんの手をぎゅっと抓ると
「わはは!すまない。つい出来心で」
ちっとも悪びれた様子もなくそう言い、ようやく私の胸元から手を離してくれた。その時
ぐぅぅう
と杏寿郎さんの腹の虫が元気に騒ぎだす。
「ふふっ。今朝は昨日からたっぷりと液を染み込ませてあるフレンチトーストです。あとは残りのコンソメスープと、ソーセージも焼きますのでちょっと待っててくださいね」
「そうか!それは楽しみだ」
杏寿郎さんがパッと身体を起こすと、ショーツしか履いていなかった私の身体が外気に晒されて、ほんの少し肌寒さを感じた。杏寿郎さんも私と同じく下着1枚しか身につけていない状態で、こんな風に肌を寄せ合いながら、あられもない姿で眠りにつけるのも、この部屋を借りる良い点だ。
じーっ
杏寿郎さんが無遠慮に、ほぼ裸に近い状態の私を眺めている。
「…やはりしようか「ほら!杏寿郎さんも早く準備しないと、部活に遅刻してしまいますよ!」
胸を腕で隠しながら慌ててベッドを降り、昨日脱ぎ散らかされた部屋着を身につける私を
「むぅ」
と不満気に杏寿郎さんが見ていた。