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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第18章 dear my scarlet【コラボ作品】【暖和】


「…昨日の事…覚えているんですか?」

私がそう杏寿郎さんに問うと、

「あぁ。全て覚えている。君は些か、10歳の俺をあまやかしすぎではないか?」

眉を下げ、ひどく優しい顔で私を見つめながら杏寿郎さんはそう言った。

「そんなことはありません。全然…足りないです。もっと、もっと、もーっと甘やかしてあげたかったんですよ?」

そう言って杏寿郎さんに私も笑いかける。


「…っ…君は本当に…」


杏寿郎さんはそれだけ言うと、私の頭をグッと引き寄せ、強くその逞しい胸板に押し付けた。


…ちょっと待って。


そこで私はようやく気がついた。


「…杏寿郎さん…」

「なんだ?」

「…何故…服を…着ていないのでしょうか?」

引き寄せられた胸板は、どう頑張っても素肌で、自分の身体に触れている杏寿郎さんの部分に神経を巡らせてみると、それは胸板だけではなくて全体に及ぶことに気がついてしまった。

「む?さっき言っただろう。身体が元に戻り、10歳の俺が着ている服では窮屈になり目が覚めたと。破けてしまう前に脱いだ結果が今の格好だ」


成る程そう言うことか。


「…確かに、どう頑張ってもあの大きさの服に杏寿郎さんの身体が収まるとは思えないですけど…と言うことは………下着も…?」

「当然履いていない!」


ニコニコとそう言う杏寿郎さんに、横になっているのにも関わらず一瞬眩暈がしそうになった。

「…アオイさんに言って、なにかお洋服をお借りしてきます」

「頼む!だがその前に…」

そう言って杏寿郎さんは

「…ひゃっ!」

グイッと体勢を変え、私の上に覆いかぶさる。

そんな杏寿郎さんの行動に、私は驚きその顔を見上げた。


まさかこんなところで…?


一瞬そんな考えがよぎる。けれども、


「…杏寿郎…さん?」


私を見下ろす杏寿郎さんの目は、そう言った気配は全く含んでおらず、ただ酷く甘く、そして優しい緋色の目が私を見下ろしていた。



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