第18章 dear my scarlet【コラボ作品】【暖和】
稽古を終え、その後、他にやることもない10歳の杏寿郎さんと私は、蝶屋敷のお掃除を買って出た。
"柱である煉獄さんのそのお姿を、たくさんの人に見られるのはあまり良いこととは言えないので、人のいない、空き部屋であればたくさんしてもらって構いませんよ"
としのぶさんに許可をいただき、空き部屋のお掃除に勤しむ。ただの掃除だが、10歳の杏寿郎さんと共にする掃除はいつもとそれと全然違いとても楽しく、杏寿郎さんも新鮮だったのか楽しそうで、気がつくとあっという間に夕食の時間になっていた。
その後湯浴みをするということになり、10歳の男の子が1人で湯浴みをできるのかどうか判断しかねた私が、
「杏寿郎くん、不安なら私も一緒に入ろうか?」
と何の気なしに聞いたところ
「…っ1人で入れます!」
と顔を真っ赤にしながら言われてしまったのだった。
…寝る時は、どうしてあげたらいいんだろう。
湯浴みの件で失敗を犯した私は猛烈に悩んでいた。それは
"10歳の杏寿郎さんと同じ部屋で寝るか否か"
という問題である。私は出来れば一緒に寝たいと思っているし、1人きりにするのはとても心配だった。でも、先ほどの湯浴みの件のように顔を真っ赤に染めて恥ずかしがらせてしまうかもと思うと、自分からどうしたいかを聞き出せずにいた。しのぶさんは、念のためにと、隣同士の個室を準備していてくれたので、例え別々の部屋で寝ることになったとしても、すぐに駆けつけられる距離といえばそうなのなだな。
…いつまでもこうして悩んでいても仕方ない。
「あの、杏寿郎くん」
「はい!」
「あのね、夜、私と一緒の部屋で寝るのと、1人で寝るの…どっちがいいかな?」
「…っ!」
私の問いに、10歳の杏寿郎さんの目が大きく見開かれる。
「私は…どっちでも大丈夫なんだけど、杏寿郎くんはどっちの方が寝やすいかな?」
そんな私の問いに
「…俺は…っ…」
大きく瞳を揺らし、動揺しているようだった。
その様子に私は、
また困らせちゃったかな
と、初めは思った。けれども、なんだか先ほどの湯浴みの時と、今の反応にちょっと差がある気がしてならなかった。そして私は一つの結論を導き出す。
…そっか。そうだよね。
最初から、聞くまでもなく答えは出ていたんだ。