第18章 dear my scarlet【コラボ作品】【暖和】
「…っあの、失礼ですが音柱様。杏寿郎さんを馬鹿にするように笑うのはやめて頂けませんか?」
いくら相手が上官である音柱様とは言え、杏寿郎さんを馬鹿にされるのも、10歳の杏寿郎さんが傷つけられるのも、どちらも許せない。
失礼を承知で、私は半ば睨みつけるように音柱様を見た。
そんな私を
「へぇ…俺にそんな目を向けるとは…いい根性してんじゃん」
音柱様は目を細め、ニヤリと笑みを浮かべながらじっと見返す。
「いつもは煉獄が五月蝿えからあんまりよく観察できなかったが、こう改めて見てみると、お前もそんなに悪い顔じゃねぇ」
…この人は、一体何を言っているんだろうか?
「…それはどうも」
思わず、私の眉間には深い、とても深い皺が刻まれる。
「っなんだよその顔!?あからさまに不快だって顔しやがって!お前この派手な色男をなんだと思ってんだ!?」
そう言いながら音柱様が私の方にグッと腕を伸ばしてきたその時、
パシッ
「え?」「は?」
「すずねさんに、不用意に触れることはやめて下さい!」
今まで、私と音柱様のやり取りを静観していたはずの杏寿郎さんが、私へと伸びてきた音柱様の太い腕を叩き落とし、辺りに響き渡りそうなほど大きな声でそう言った。
…っやだ!かっこいい!素敵!
私は、先程までの音柱様への嫌悪感(失礼にも程があるが、私からすれば杏寿郎さん以外の殿方なんかどうでもいいし、どう思われようと構わない)などすっかり忘れ、先程私が杏寿郎さんにしたように、小さな背中に私を隠すように庇う10歳の杏寿郎さんの行動に、心を鷲掴みにされていた。
「…へぇ。やるじゃん。10歳のそんなに弱っちい姿になっても、自分の女は守るってか?」
音柱様は再びニヤリと笑みを浮かべる。
「…自分の女?」
杏寿郎さんは、音柱様のその発言がいまいち理解できなかったようで、首を傾げている。
「…っちょっと!音柱様!こちらにきて下さい!」
私はと言えば、音柱様の
“自分の女"
発言に大慌てし、10歳の杏寿郎さんの背中から抜け出し、しかも折角はたき落としてもらった音柱様の手を自ら掴み
「おい!なんだよ!?」
ズンズンとその腕を引っ張り杏寿郎さんに話が聞こえない距離までその大きな身体を引っ張った。