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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第18章 dear my scarlet【コラボ作品】【暖和】


「結論から申し上げますと…」

しのぶさんの言葉に、私は膝の上に置いていた拳をぎゅっと握る。

「煉獄さんは鬼の血鬼術で一時的に10歳ほど若返っています」



「…え?」



杏寿郎さんが?
10歳若返った?
どういうこと?



戸惑い、狼狽える私にしのぶさんは

「すずねさんが驚くのも無理はありません。私も初め、血鬼術で若返った隊員を目にしたときは同じように驚きましたので」

ニコリと微笑みながらそう言った。きっと私を安心させようとそうしてくれたのだろう。

「…他にも、同じ術にかかった隊員がいるんですか?」

「ええ。数週間前から、その術に掛かってしまったという隊員がここに来ていましたので」

「…っあの!それって元に戻るんですよね?」

私にとって

"杏寿郎さんが元の杏寿郎さんに戻るかどうか"

それが一番気がかりだった。


もし万が一戻らなかったら


そう考えると背筋がゾッとした。


「ええ。平均して3日程で元の年齢に戻りました。けれども、煉獄さんは、鬼の頸を切り落としてから術が発動したので、恐らく他の隊員よりは早く元に戻るのではないかと予想しています」

「…そうですか…良かった…」

その言葉に、私はホッと胸を撫で下ろす。

「本題はここからです」

私はしのぶさんのその言葉に、床にむけていた視線を上げ、しのぶさんの目をじっと見る。

「10歳若返ったことで、記憶もその当時に遡っています」

「…記憶が?」

「はい。だから今の煉獄さんは、鬼殺隊員でも、ましてや炎柱でもありません。10歳の…まだ少年といえる年齢にあたります。けれども、流石煉獄家の嫡男と言うべきでしょうか。最初はかなり戸惑っていたようですが、すぐに状況を理解しようと、頭を切り替えた様子でした」

「…そう…なんですか…」


流石、10歳と言えど杏寿郎さんだな。


「そうは言っても、今の煉獄さんを1人にしておくことは出来ません。だからすずねさん、あなたをここにお呼びした次第です」

「…なるほど…」

しのぶさんの話を聞き、私としても、血鬼術で10歳に戻ってしまった杏寿郎さんを他の誰かに任せるのは嫌だと思った。それに、我ながら不謹慎だとは思うが、こんな事がなければ絶対に会う事が出来なかったであろう、10歳の杏寿郎さんと会ったみたいとも思った。

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