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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第18章 dear my scarlet【コラボ作品】【暖和】


ドキドキとうるさいほどに大きな音を立てる胸の音を沈めながらアオイさんの後に続き廊下を進む。

あっという間にしのぶさんの診察室の前に到着し、アオイさんがコンコンと扉を2回叩き、

「しのぶ様。柏木さんが到着なさいました」

と声をかける。

すると中から

"どうぞ、お入りください"

といつもと変わらないしのぶさんの落ち着いた声が聞こえ、


杏寿郎さん…やっぱり大したことじゃなかったのかな?じゃあ要はどうしてあんなにも慌てていたの?


とそんな疑問符が頭に浮かぶ。


「それでは、私は朝食の準備がありますので、これで失礼します」

そう言って私に会釈するアオイさんに身体を向け

「はい。案内していただきありがとうございました」

私も会釈を返す。そしてしのぶさんの診察室に向き直り、

「失礼します」

扉をゆっくりと開いた。





扉を開いたその先には、椅子に腰掛けているしのぶさんの姿があり

「おはようございます。すずねさん」

「おはようございます。しのぶさん」

私に向け、そのかわいくも美しくもある笑顔を向けている。

「かなり慌てて来たようですね」

「だって…要が、杏寿郎さんの鴉が、杏寿郎さんが大変だから急いで蝶屋敷に向かえって!だから私はてっきり…」

しのぶさんはそう言う私の右手をニコニコと笑顔を浮かべながら指差し、

「木刀、話をするのには邪魔になるので、こちらでお預かりしますね」

と楽しげにそう言った。


…木刀?


しのぶさんの言葉に自分の右手を見ると


「…っやだ!私ったら…こんなものを…!」


その手にはしっかりと、煉獄家でいつも使わせてもらっている鍛錬用の木刀が握られており、


顔から火が出そう…っ!


いくら急いでいたとは言え、こんなものを持ったままずっと走っていたと言う事実に気がついた私は、穴があったら是非ともスッポリ頭まで入りたい気分だった。

「とりあえず、その木刀は…そこの壁にでも立て掛けておいて頂いて、煉獄さんの身に何が起こったかをお話ししましょう」

「…っはい」

私は木刀を壁に立て掛け、

"どうぞ"と座るようにしのぶさんが促してくれた診察用の椅子に腰掛けた。


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