第17章 お金が欲しかっただけなのに気がついたら君主の寵愛を受けていた
…身体…重い…。
微かな話し声が聞こえ、段々と深く沈んでいた意識が浮上してくる。
私…?…っそっか。気絶…したんだ…。
何度イカされたのか、もう数えるのも嫌になった頃
"…っだめだ…出すぞ…"
"…っあ…ん…っ…いっ…だめっ……ぁぁあああ!"
耐えようのない激しい絶頂で
急に辺りが頭が真っ白になり
ふっ
と意識が途絶えたのを思い出した。
底なしめ。一体何回出されたんだろう。
そう心の中でひとりごちりながらゆっくり目を開くと、
「…っ!?!?」
杏寿郎様の隣にいるおつる様の存在に、叫び出しそうになった。
あぁ…クビだ。杏寿郎様は…気の迷いだったで許してくれそうだけど…おつる様は無理だ。…まぁでも、一度でもこんな関係になったら、どちらにしろ侍女としては失格。慌てて借金を返す理由も無くなったし、地道に働こう。
そう結論づけた私は、重い身体を何とか起こし、
「…杏寿郎様、おつる様」
私に背を向けなにやら話し込んでいた2人に声を掛けた。
ゆっくりと2人が一緒にこちらへ振りむく。
「起きたのか」
「…はい」
「随分と声が掠れてしまったな。あれだけ声を出せば当然か」
おつる様の前で何言ってくれてんの!?
と思ったものの、私のこの姿と、確実にこの部屋から漏れ出ていたに違いない私のでかい喘ぎ声で、おつる様は全てわかっているだろう。
申し訳ないと思いながらも、手に届くところにあった杏寿郎様のものと思われるとても手触りのいいブランケットを身体に巻き付け、床に降りると
「杏寿郎様、おつる様。今日まで大変お世話になりました。荷物をまとめ、すぐに出ていきます」
「…っおい!」
額を床に擦り付け、頭を下げた。
するとすぐ、バタバタと私に足音が近づき、
「やめろ。何のつもりだ。出て行くとはどう言う意味だ」
私の身体を無理やり起こし、杏寿郎様が私の目をジッと睨みつけながらそう言った。
「…言葉の通りでございます。私は…侍女でありながら杏寿郎様と体の関係を持ち、約束を違えました。もう侍女として、仕事を続けることはできません」
そんなこと、自分が1番許せそうにない。
そう言って私も、杏寿郎様のじっと見返した。