第3章 週末はあなたと2人で【暖和】※裏表現有
ミートソースと絡めたパスタをくるくるとお皿を回しながら盛り付けると、お店のそれっぽく良い感じに見える。
よし。盛り付けもばっちり。
仕上げに冷蔵庫から粉チーズを出し、上からふりかけると、ミートソースの上に白い雪が降ったかのように赤と白のコントラストが映える。さらにその上から乾燥パセリを散らすと緑の色鮮やかさでより美味しそうに見えた。
「杏寿郎さーん。ミートソーススパゲティが出来たので持って行ってもらっても良いですか?」
「うむ!任せろ」
杏寿郎さんはそう言って、バタバタと音を立てこちらに来ると
「おぉ!なんと美味しそうな!」
と言いながら嬉しそうにミートソーススパゲティを2皿持ちテーブルへと運んで行った。その間にコンソメスープをスープ皿に入れ、お盆に乗せ溢さないように気を付けながらテーブルへと運ぶ。
「…杏寿郎さん。隣ではなく、向かい合わせの方が食べやすくはないですか?」
そう。テーブルに着くと、ミートソーススパゲティは隣同士で置かれており、それはそんなに広くないローテーブルに2人並んで座り夕食を取る事を示していた。
「俺はこうが良い!」
その子どもっぽい言い方がまたなんとも私の母性本能をくすぐる。
「もう…しょうがないですね」
そんな風に言いながらも、私の顔はきっと緩みっぱなしだったに違いない。
「すずね、洗い物はしておく。先に風呂に入ってくると良い」
食事を食べ終え、食器を台所へと運んでいると杏寿郎さんが腕を捲り上げながらそう言ってくれた。
「え…良いんですか?」
「うむ!夕食の買い物も作るのもすずねに任せてしまったからな。それ位は俺にやらせてほしい」
「そう言うのであれば…お言葉に甘えさせてもらいます」
「そうしてくれ」
この部屋で二人で過ごす時は、こうして私が作った料理を杏寿郎さんに食べてもらえたり、家事を2人で協力してやったりと、"新婚感"と言うものを味わうことが出来る。
お金にはかえられない、大事な時間だよね。
結局のところ家賃がもったいないと思う以上に、私も杏寿郎さんと2人きりで過ごすこのひと時が好きなのである。
「ありがとうございます。それじゃあお先に頂きます」
「1人が寂しければ後から俺も入ってあげよう」
「遠慮しておきます」
「わはは!手厳しい!」