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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第3章 週末はあなたと2人で【暖和】※裏表現有


キッチンタイマーを6分にセットし、その間にパスタを盛り付ける食器とスープ皿を準備する。本当はサラダも付けたい所だったが、あいにくそこまで手が回らないので野菜たっぷりのコンソメスープでそこは許してもらおう。

ミートソースとコンソメスープも弱火で温めておき、あとはパスタの茹で上がりを待ってソースと和えるだけだ。

ぐつぐつと煮えたぎるパスタを菜箸で混ぜていると、

「腹の虫が鳴り止まない」

そう言いながら杏寿郎さんに背後から軽く抱きしめられる。

「ちょっと杏寿郎さん。危ないですからあっちで座って待っていてください」

「む?大丈夫だ!」

「私は大丈夫じゃありません!それにハッキリ言わせてもらうとお邪魔です!大人しく座っていてください」

そう私が言っているのにも関わらず、杏寿郎さんは私の後頭部にスリッと顎をすり合わせ離れようとはしない。

「……そんな可愛い事をしてもダメです。はい!そこに除菌シートがあるのでテーブルを拭いて待っていてください」

2人きりのこの部屋では、杏寿郎さんはこうして何かと私にくっついて来ようとするし、甘えるような様子を見せてくれる。前世でも、任務も無く、たまに二人きりになれた時は今と同じような姿を見せてくれることもあった。けれどもやはり、今のこの平和な世でのそれとは若干異なり、私はこの身も心も完全に緩んだ杏寿郎さんの甘えた様子が堪らなく好きだ。

それでもお夕飯の準備は待ってくれない。

ぱっと私に回されている杏寿郎さんの腕から逃れ、不満そうな顔で私を見ている杏寿郎さんへと除菌シートを1枚差し出した。

「はい、お願いします。早くしないとスパゲティが伸びてしまいますよ?」

「それは困る!」

杏寿郎さんは慌てて除菌シートを取り、テーブルを拭きに行った。その慌てぶりもまたなんとも可愛らしい。

今世の杏寿郎さんはもちろん昔と一緒で格好良くって逞しくって頼りになるけど…このなんとも言えない可愛らしさが堪らない!

そんな事を考えながらテーブルを拭く杏寿郎さんを見つめていると、

ピピピッピピピッピピピッ

とキッチンタイマーがパスタの茹で上がりを告げた。慌てて火を止め、トングでパスタをミートソースへと移し、私はお料理の仕上げへと取り掛かった。



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