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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第16章 心を込めたお祝いをあなたに【暖和】【煉獄さんお誕生日】


あっという間に頭を洗い終え、杏寿郎さんは次に身体を洗い出す。その姿をジッと見ているのも些か恥ずかしいものがあり、私は乳白色のお湯を意味もなくジッと見つめていた。

「よっと」

ザバン

杏寿郎さんは私の背後に周り、両足で私を挟み込むように湯船に入って来た。それに伴い、収まりきらないお湯がザバーッと溢れていく。

「気持ちがいいな」

「そうですね。今日は少し肌寒かったので、あったかくて気持ちがいいです」

そうは言ったものの、狭い湯船で、裸で(お風呂なのだから当たり前だが)身体が密着してしまうこの体制はとても恥ずかしいものがある。そして内心


もしかしてここで杏寿郎さんに抱かれてしまうのでは


と思う自分がいた。


お誕生日だし、もし求められたら…応えてあげないと。


けれども、そんな私の恥ずかしい心配は杞憂に終わり

「のぼせてしまっては大変だ。そろそろ出た方がいい」

と杏寿郎さんから勧められ、

「わかりました。多分、私の方が出てからも時間が掛かるので、お先に失礼しますね」

私は腕で胸を気持ち程度に隠しながら湯船から立ち上がった。

「…なにも隠さなくてもいいだろう。すずねの胸はもう目をつぶっていても鮮明に思い出せる程何度も見ている」

「…っもう!そんなこと、偉そうに言わないでください!」

「わはは!」

楽しげに笑う杏寿郎さんを尻目に、私は杏寿郎さんに背を向けながら(お尻を見られてしまう事に関してはこの際目をつぶるしかない)急いで身体を拭く。あらかた拭き終え、あとは外に出てから拭こうと思い、バスタオルを身体に巻き付けて杏寿郎さんの方を振り返ると

「…」

先程の楽しげな様子から一転、杏寿郎さんは物言いたげな顔で私をジッと見ていた。

「…杏寿郎さん…どうかしましたか?」

不思議に思い私がそう問うも、

「…いや!なんでもない!俺ももう出る」

と何やら誤魔化されてしまった。


…なにか考え事かな?また後で様子がおかしかったら聞いてみよう。


そう思いながら

「わかりました。ではお先に」

私は浴室から脱衣所に出たのだった。




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