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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第16章 心を込めたお祝いをあなたに【暖和】【煉獄さんお誕生日】


母親である瑠火様がそういうのだ。杏寿郎さんもそう思っているのかもしれない。けれども、

「私は…みんなでお祝い出来たらと…思っていたのですが…」

家族に囲まれ、みんなに祝われる杏寿郎さんが見たいという気持ちが拭いきれずにいた。

どうしたものかと、コトコトと美味しそうな音を立てて煮込まれている肉じゃがに視線を向けていると、

「私から提案があります」

「…提案ですか?」

瑠火様が微かに微笑みながらそう言った。

「誕生日前にある週末…となると、5月6日の金曜日ですかね。先にお二人だけで、早めのお祝いをされてはいかがでしょうか?」

「先に…2人だけで…お祝い…?」

瑠火様からのその提案に、私は目から鱗がぽろりと落ちてきたような気がした。

「はい。5月10日の当日は、この家で、家族全員で、杏寿郎の誕生日をお祝いしましょう」

そのなんとも素敵な提案を断る理由は何ひとつ見つからなくて、

「はい!」

私は幸運にも、結婚して初めて迎える杏寿郎さんの誕生日祝いを、2回もできることが決定したのだった。



—————



5月6日の金曜日。この日は午前中だけ仕事をし、午後は有給を取らせてもらい、誕生日の準備の時間に当てさせてもらう事にした。

まずは職場から最寄りのデパートに行き、食材の調達から取り掛かる。おしゃれな料理を作るのはあまり得意では無いので、悩んだ結果、杏寿郎さんがいつも沢山お代わりをしてくれる、じゃがいもの代わりにサツマイモをたっぷり入れたカレーを作ることに決めていた。


玉ねぎはいくら入れても入れ足りない。だってあの玉ねぎの甘みが最高なんだもん。


玉ねぎ4つ、人参2本、さつまいも2本をカゴに入れる。あとはサラダ代わりにカプレーゼを作ろうと思っていたので、赤くて艶のあるトマトを2つ。バジルも忘れずにカゴに入れ、つぎはお肉コーナーへと向かう。

いつもはチキンカレーにしているが、今日は杏寿郎さんの誕生日という特別な日。お高めのカレー用黒毛和牛を手に取り、このお肉を使って作るカレーがどんな味になるかを想像すると、自然と口角が上がってしまう。カレールーはいつもと一緒の、ごく普通の中辛のものを選び、次はカプレーゼ用のモッツァレラチーズ。

以前試しに買って、すごく美味しかったものを二つカゴに入れ、そのまますぐそばにあるお酒コーナーへと向かった。

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