第15章 誕生日の贈り物は【暖和】【煉獄さんお誕生日】※裏表現有
杏寿郎さんの手から着替えと手拭いをひったくり、赤くなっていると思われる頬が杏寿郎さんにバレる前にと、急いで湯をもらいに行こうとした。
「すずね」
「…なんでしょう…」
杏寿郎さんは足を止めたものの、振り向かず、正面を向いたままそう答えた私に
「…出来るだけ、早く出てきて欲しい」
と、珍しくボソリとほんの少し恥ずかしそうな声で言った。
「…っ…わかりました…」
私は、恥ずかしさ以上に、杏寿郎さんのその言い方が可愛らしくて堪らず、
キュンッ
と胸を高鳴らせるのだった。
身体を洗い、折角準備をしていただいたのだからとほんの少し湯に浸からせてもらい、着替えをすませ湯殿を出た。部屋に向かう道すがら、私はこれから始まる杏寿郎さんへの"ご奉仕"という名の贈り物のことを想像し、なんともいえない気分になっていた。
ドキドキと落ち着かない気持ちで部屋の襖を開けると、そこには既に杏寿郎さんの姿があり、先程別れた時と同じ姿勢で布団の上に胡座をかいていた。けれどもその格好は、先程の隊服姿から、着流姿に変わっており、それが杏寿郎さんも無事身を清め終わった事を指し示していた。
ゆっくりと部屋に入り、襖を閉め、杏寿郎さんが胡座をかいている布団に近づく。天井の方から垂れ下がっている紐を引っ張り、部屋の明かりを落とすと、部屋は提灯の控えめな明るさだけとなる。その"明かりを落とす"という行動すら、なんとも卑猥に思え、私はまだ何もしていないと言うのに、自分の女の部分が疼き出すのを嫌でも感じてしまう。
私…いつから…こんなにも…っ。
杏寿郎さんの正面まで行き、私はお互いの脚がくっ付いてしまいそうなほどの距離で座り込んだ。チラリと見上げた杏寿郎さんの視線は、バッチリと私のそれを捉えており、杏寿郎さんもこれから始まる行為で既に気持ちが昂っているのか、目が興奮の色香を含んでいた。
心臓がドクドクとうるさい程の音を立てている。
「杏寿郎さん…」
「なんだ」
ゴクリ
と一度唾を飲み込み、
「…準備は…良いですか…?」
「…あぁ」
その興奮を抑えたような声色が、キュンと私の胸と、下腹部を甘く刺激した。