第15章 誕生日の贈り物は【暖和】【煉獄さんお誕生日】※裏表現有
ギュッと両手を握り締め、杏寿郎さんの目をじっと見つめ
「…布団の上で…胡座を…かいてください」
「…承知した」
そう言って訝しげな顔をしつつも、杏寿郎さんは徐に起き上がり、私の要求通り布団の上で胡座をかく。
ごくりと一度唾を飲み込み、私は杏寿郎さんへと近づく。
「…嫌だったら…言ってください…」
そう告げ、私は杏寿郎さんの金のボタンに上から順に手をかける。恥ずかしくて杏寿郎さんの顔を見ることは出来なかった。
「…っ!」
頭上から息を呑む音が聞こえ、私の頬はどんどん熱くなっていき、おそらく真っ赤に染まっている。
隊服を脱がし、軽く畳んでから私の後ろに置く。シャツは…そのまま。
次は…こっち。
震える手で、杏寿郎さんのベルトに手をかけた時、
「待ってくれ」
杏寿郎さんが私の手をパシリと掴む。
「すずね…君はいったい…何をしようとしているんだ」
目線だけを杏寿郎さんに向け、熱を孕み出した杏寿郎さんの瞳と私の瞳がかち合う。私が蚊の鳴くような声で
「…口で…させてください…」
と言うと、
「…っな!?」
杏寿郎さんのただでさえ大きな目が、さらに大きく見開かれた。
自分で言っておいて恥ずかしくて堪らなかった。でも、贈り物がない今(サツマイモの刺繍入りの手拭いはあるが)、私が考えた、今現在、杏寿郎さんを喜ばせられそうなことは、唯一これだけである。
私が本気であることが伝わるよう、杏寿郎さんの目をじっと見つめる。
「…っすずねの願い出はとても嬉しい。だが、見回り開けで、俺は身体を清めてもいない。そんな状態で君にそんなことはさせられ「したいんです」」
杏寿郎さんの言葉を遮り、私は再度杏寿郎さんのベルトに手をかける。
「………わかった」
今度は止められなかったことに安心し、
「ありがとう…ございます。では…失礼します」
そう言って、かちゃりとベルトのバックルを外しにかかった。
カチャカチャとベルトを外し、続いて隊服のズボンへと手を掛ける。自ら申し出たのにも関わらず、私の手は羞恥で震えていた。その時、杏寿郎さんの手が
パシリ
と、私の手を掴み、
「やはり待ってくれ」
再び私の行動を止めた。
不満やら安心やらごちゃ混ぜの感情を抱きながら、私は杏寿郎さんの顔を再び見上げる。