第15章 誕生日の贈り物は【暖和】【煉獄さんお誕生日】※裏表現有
開いた襖のその先には"大きめの布団が一組"敷かれており、その光景に思わず目をひん剥いた。
…ここまで…してくれなくても…。
恥ずかしくて蹲りたいきもちでいっぱいだった。
「うむ。すずねはあの布団で休むといい。俺は、そこまで疲れていないからそこの座布団で十分だ」
杏寿郎さんはそう言いながら私の手を引き布団の前まで連れて行き、自分は座布団の方に行こうとしたのか私の手を離した。
私はその手を
パシリ
と掴み
「…杏寿郎さんも…こっちで…一緒に…休みましょう?」
震える声を抑え、杏寿郎さんの瞳をじっと見つめそう乞うた。杏寿郎さんは、私がしたのと同じように私の瞳をじっと見つめた後
「…わかった」
といつもよりも抑えた声でそう言った。
きっと私の様子がいつもと違うことは杏寿郎さんにはバレているだろうし、自分の声が震えていて、頬には熱を帯びている自覚はあった。
恥ずかしくて…どうにかなってしまいそう。
腕を引く私に大人しく従い、杏寿郎さんと私は2人仲良く布団の隣に腰掛ける。
「き…杏寿郎さん」
「なんだ?」
「こっちを…向いてくれませんか?」
私と向き合う事を避けようとしていたのか、ほんの少しそっぽを向いていた杏寿郎さんの隊服をクンと引っ張り、私と向き合ってもらえるようにお願いをした。
「…うむ。いいだろう」
チラリと伺うような視線で私を見た後、杏寿郎さんは私の要求通りこちらへと身体の向きを変えた。
よし。…やるのよ、私!
「杏寿郎さん!」
思いの外大きな声が出てしまい、しまった、と思ったがそんな事を気にしている場合ではない。
「…どうした?今日のすずねは些かおかしい。何かあったのか?」
杏寿郎さんが、じっと私の目を見据えながらそう言った。
何かあったかと問われれば、違うともいえない。