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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第15章 誕生日の贈り物は【暖和】【煉獄さんお誕生日】※裏表現有


「よし!今日も何事もなく任務を終えることができたな。戻るとしよう」

空が白み始め、森を、街を走り回っていた時間の終わりが訪れる。いつもの流れであれば、杏寿郎さんが言った通り、すぐに煉獄家へと戻る。けれども今日は、今日だけは、そういうわけにはいかない。

「…っあの…杏寿郎さん!」

「なんだ?」

「私…いつもよりも疲れてしまって…藤の家で少し休憩してから戻りたいのですが…!」

緊張で声が震えそうになるのを何とか抑えそう言った私を、

「珍しいな?…体調でも悪いのか?」

杏寿郎さんが身をかがめ、心配気に覗き込む。

「…少し…睡眠不足で…。ほんの少し仮眠できれば、大丈夫なので…!」

「それはいけない。確かすぐそばに藤の家があったな。そこで少し休憩させてもらおう」

「…はい。ありがとうございます」


嘘、吐いちゃったけど…仕方ない。


いくら杏寿郎さんの為とは言え、嘘をつくことは憚れた。


それでも…私は、やる!


そう決意を固め、藤の家がある方向へと身体の向きを変えた杏寿郎さんにならい、ザッとつま先の向きを変えた。

「行こう」

「はい」





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藤の家に到着し、休憩させて欲しい旨を伝えると、お婆さんはすぐに部屋を用意すると言ってくれた。その際、杏寿郎さんにバレないようにこっそりと

"人払いをして欲しい"

とお願いすると

"承知しました"

と何も聞かずに、私の要望を聞いてくれたのだった。


絶対に…怪しく思われているだろうな。


けれども、そんなこと言っている場合ではない。 


「鬼狩り様。大変お待たせいたしました。お部屋にご案内しますので、こちらにお越しくださいませ」

そう言うお婆さんに、

「「ありがとうございます」」

杏寿郎さんと私はお礼を述べ、その後を追った。










「こちらのお部屋をお使い下さいませ」

「うむ!すまない」

おばあさんは、意味あり気に私の方にチラリと視線を寄越し、コクリと一度頷くと、

「ごゆるりとお過ごし下さいませ」

そう静かに言って、スタスタと廊下を歩き、去って行った。

私はごくりと唾を飲み込み、

「…入りましょうか」

と言いながら部屋の襖に手をかけ、それ開いた。


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