第15章 誕生日の贈り物は【暖和】【煉獄さんお誕生日】※裏表現有
私は部屋で1人、頭を抱えていた。
「どうしよう…何にも用意できてない!」
今日は愛してやまない恋人、杏寿郎さんの誕生日。それなのに、肝心の贈り物の準備が出来ていない。たまたま任務が続いてしまい、たまたま単独任務ではなく杏寿郎さんとの任務が続き、買い物に出る時間がなかったのだ。そして、残念ながら今日この後も杏寿郎さんと2人で任務に向かうことになっている。
「…恋人としてのはじめての誕生日祝いが…これだけだなんて」
手に持ち広げたのは、少し前の任務帰りにたまたま立ち寄った店で見つけた、可愛らしいお芋の刺繍が入った手拭い。一目惚れで、杏寿郎さんにあげたいと思って購入したのだが誕生日の贈り物としとあげるつもりではない。けれども、今現在、私の手元にある杏寿郎さんに贈ることができそうなものはこれだけである。
「…いったい…どうしたら…」
半泣きになりながら手拭いをじっと見ていると、ふと少し前の任務の際の出来事が頭をよぎる。
"男はね、好いた女にご奉仕された日には、何かを贈られるよりも何倍も嬉しいもんよ"
"…ご奉仕…?"
"なぁに?貴方あんな美丈夫な男の連れなのに、そんなことも知らないの?ご奉仕っていうのはね、貴方のその可愛らしいお口で彼のアレを………"
その"ご奉仕"とやらの方法は、聞いているだけで頭が沸騰しそうだった。今思い出しているこの瞬間も沸騰しそうである。
けれども、
「…あれを……するしかない…」
贈り物が用意できなかった今、おそらく私が選べる選択肢はその方法以外にない。
杏寿郎さんが喜んでくれるのであれば、恥ずかしさなどかなぐり捨て、私は全力で杏寿郎さんに"ご奉仕"をしよう。
「…よし!」
私は腹を括った。