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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第14章 ファインダー越しじゃない貴方と✳︎煉獄さん


カメラをいじりながらしばらくそこで待っていると

「柏木さん!」

私の名を呼ぶ煉獄さんの声が聞こえ、私はカメラから視線を上げ、声のした方向へと目線を向けた。

「…っ!」

いつものラフなランニングウェアじゃない(その格好もものすごく格好良いのだが)、シャツに赤いネクタイ、黒のスラックス姿の煉獄さんの姿はピシッと固まってしまうほど素敵で、私はただただ目を奪われてしまう。徐々に私に近づいてくる煉獄さんに伴うように、私の心臓もドクドクと心拍数を早めていくようだ。

「柏木さん!無事に見つけることができて良かった!今日はわざわざこんな場所まで足を運んでくれてありがとう」

「いいえ!お礼を言われる事なんて何も!…私、煉獄さんに会えるのを…ずっと楽しみにしていたので…今日招待してもらえてすごく嬉しいんです!2週間会えなくて…すごく寂しかったから!」

私のその興奮気味にはいた言葉に、一瞬、煉獄さんの動きがピタリと止まる。私は、猛禽類のように大きな目を見開いた煉獄さんの表情から、自分が何を口走ったよく考えてみて


あんなこと言って…もう好き!って言ってるのとほとんど変わらないじゃない!


私は頭を抱えてその場に蹲りたくなる気持ちを抑え、それ以上は何も余計なことを言うまいと、自分の手でそのお喋りな口を塞いだ。


煉獄さんはそんな私に、ニコリと微笑むと

「そうか。俺も、柏木さんに会いたいと、ずっと思っていました」

私の頭をスッと撫でながらそう言った。


やだ!
無理!
好き!


口をついて出そうになる言葉を止めるため、さらに強く口を塞ぐ。

「そろそろ準備しなくてはならない時間だな…。柏木さんには関係者用の特別な席を準備させてもらっている。出来ることなら、そのカメラで、走っているところを撮影してもらえればと思っているのだが、お願いできないでしょうか?」
 
その煉獄さんからの思わぬ提案に、私はようやくパッと手を口から離し目を丸くしながらその格好良くて堪らない顔を見上げた。

「…っ私にですか?嬉しいです!動いている被写体を撮るのはそこまで上手くないんですけど…精一杯頑張ります!」

「ありがとう!ではその場所に案内します」

「はい!」






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