第14章 ファインダー越しじゃない貴方と✳︎煉獄さん
それから2週間後の文化祭当日。
私は煉獄さんとの約束通り、煉獄さんが務めていると言う中高一貫キメツ高校の文化祭を訪れていた。校門から見えた校内の雰囲気はとても活気を感じ、私はそれにつられとてもワクワクしていた。さらに、
出来ることなら1人で来てほしい
意中の相手にそんな事を言われてしまえば、もしかしたらと思ってしまうのも当然で、久々の学校の雰囲気と、そしてこれから変わるかもしれない煉獄さんとの関係に、私の胸は躍っていた。
"着きました。時間まで、適当に見回るので、もし少しでも時間が空いたら会いに行かせてください"
そうメッセージを送り、スマートフォンをポケットにしまおうとしたその時
ブッブッブッブッブ
スマートフォンが振動し、ポケットにしまうのをやめその画面を見ると
煉獄さん
の4文字が。
その文字を目にするだけで、自然と口角は上がり、胸はときめいた。
はぁ
と一度大きく息を吐き、緊張しながらも通話ボタンをタップした。
「もしもし」
"もしもし?柏木さん?今どの辺りにいますか?'"
「今は、写真部の展示でも見に行こうかと校内を歩いているんですが…あ、視聴覚室のそばみたいですね"
"わかりました!今からそちらに向かいますので、動かず待っていてもらえますか?"
え?ここに?来てくれるの?嘘。嬉しい。
内心そんなことを考えながらも
「わかりました。待っていますね」
声色が変わらないように注意を払いながら、私はいつも通りの感じを装いそう答えた。
"では、またすぐに!"
「はい」
プッ
通話が終わり、実は"煉獄さんとの初めての電話"を終えた私の心は、ドキドキとうるさいほどに音を立て、煉獄さんへの"好き"の感情がもうどうしようもないことをありありと示していた。