第1章 ONE And ONLY(仁王雅治)
練習が終わったのは、あたりが真っ暗になってからだ。
だけど、私と丸井君は買出しがあるからと
暗くなる前に、リストを渡され、それを買出しに来た
「随分と、でっけぇな」
「そうだよね。私も驚いてる」
「近所なのに?」
「だって、マネだからってそんなに中を覗くわけじゃないし」
「それもそうだよな」
籠の中に必要なものを入れていくと、仁王君が使っているラケットのグリップを見つけた
俺とは別に、先に買いに行った私を見て居たらしい丸井君
「お前も健気だよな」
「何が?」
「だって、仁王に気づいてもらえないのにそう、勝手もよぉ」
「そうでもないよ?」
「そうか?」
他にもいろいろと買い込むとレジまで持って行った丸井君と私。部費で出してもらうからと、領収書もしっかりともらい受けた私に
「ほんとしっかりしてるよ。お前」
「ありがとう。丸井君、荷物まで持ってもらっちゃって」
「いいんだけどよ?」
とりあえず、私の家に置いて明日持って行くという話になってマンションの入り口までくると
「あれ?仁王じゃん」
「ほんとだ」
「何じゃ、先に帰った割には遅かったのぉ」
「そりゃ、買出しが合ったんだからしょうがないでしょ?」
「そうじゃが、随分と」
遅いとでも?そう言いたいのだろう
「日暮」
「丸井君?」