第2章 ONE And ONLY2 (仁王雅治)
「それ、仁王先輩が言うんっすか」
「当り前じゃろ。俺じゃなくても同じことを言われるぞ。
それとも、真田に言われたかったんか」
「うぇっ酷いじゃないっすか!ねぇ、月渚先輩!」
「私に振られても」
雅治のいないテニスコートを眺めても、何も思わなかったのに、雅治がいるだけで、別の場所にいるような気にもなってしまう
「しっかし、さっきから気になってたんじゃが、何で皆して月渚の事を名前で呼んでおるんじゃ」
「えー?」
「俺が知らない間に何でそんなことになっているんだとお前は言いたいんだろう?俺達に別にそんな深い意味はない。中学も高校も大学も一緒で、しかも同じ部活であれば苗字じゃなく名前で呼んでいても可笑しくはないだろう」
そう言った蓮二君の顔を見続けている雅治
「ほんと、深い意味はないよ」
「そうか」
そう言った雅治は、今度はブンちゃんを捕まえて一緒に試合を始めてしまった
「今更気付くとはな。仁王の奴も」
「確かに、大分時間かかってたね。校内でも名前で呼んでたのに、気づいていないんだもん」
そう話している精市君に蓮二君。
「まぁ、それでも仁王が何も言わないのならそのままでもいいんじゃないか」
「そうだね」
流石にお互いを熟知しているだけあって、一歩も引かないブンちゃんに雅治