第1章 ONE And ONLY(仁王雅治)
「さて、と。これはここでおしまい」
「うん?」
「聞かせてもらっていいかい?」
「何を?」
「何で、跡部は君を敵視しているんだい?」
「「!?」」
敵視・・・か
「そうだろうね。氷帝学園がお金持ちの集団の学園だって言うことは知っているでしょう?」
「あぁ」
「私も、その中の1人で、跡部に並ぶ財閥の令嬢」
「!?」
「だけど、その中にいる生活が私にはあってなかったことに気が付いたのは早かったの。だけど両親からは中学まではという話で氷帝を出て立海に入って来たの。」
「それと」
「跡部はね、私が氷帝を出て立海に入ったのが気に食わないのもあるのかも知れない。だけどね、アイツは私が氷帝から逃げたと思ってるの」
「なんでまた」
「跡部は欲にまみれてる男だもの」
「「欲か」」
「まるで、仁王と一緒じゃないか」
「そうかもね。家は跡部の家のように厳しくもないし、付き合う男も、結婚する男も自分で決めていいって言われてるから」
「だ、そうだよ。仁王」
顔を上げた雅治がこっちを見たのも、視線がぎらついているのも、間違いではないだろう。
「ほんと、仁王にとってのONE And ONLYなんだね」
ONE And ONLY・・・?
「そうだな」
「いいじゃろ。3年も片思いだったんじゃ。
3年前の関東大会から、ずっと
そんな女が氷帝からとはいえ来たら逃がさんに決まっておる」
「3年・・・」
確かに3年前、関東大会も全国大会も見に行った。
丁度、中1の時だ。あの時に気づいていたというの・・・?