第1章 1
「で、今回。お母さんの転勤が
決まったの。"東京"に」
「う、嘘だろ。オイ」
「嘘じゃない。私だって
本当は、ここに居たい。新しい場所に行くなんて
イヤに決まってる。
ましてや、通いなれてるこの学園で
皆と一緒にいたいって思うのは本当。
だけど、高校生の私が親にそれを言ったところで
簡単に1人で暮らせるはずがないの」
「・・・」
「次の学校は」
「もう、決まってる。制服も、ある」
「そこまで」
「なぁ、何でそれを仁王に言わねぇんだよ?」
「そうですよ。幼馴染なんですから」
「幼なじみだからだよ。だからこそ
余計に仁王君には言えない」
「疑問何だけどよ?
何で、今まで仁王の事、名前で呼んでたくせに
今、名字で呼んでるんだよ」
「「!?」」
「私なりのけじめだよ。
言わないで、アイツのそばを離れていく」
「なっ」