第5章 5
え?
「今日、急遽S1にしてくれってな」
「!?」
驚いて、雅治の方を見ると2-0でゲームを取っている雅治の姿
「中学の時。アイツに
そのままの姿の仁王のプレーがみたいと言ったそうだな」
あ・・・
言った気がする。
だけど、何で?
他校に転入した私のため?
「だからこそ、アイツのあの姿で
最後にプレーをしたかったんだろう」
「雅治・・・」
「日暮がいなくなって仁王が
荒れたのも、暴れていたのも
俺達テニス部員は知っている。」
「あ・・・」
「だが、精市に預けた手紙はまだ渡すほどではなかったからな」
「な!?」
「知っているだろう?俺のもう1つの呼び名を」
「そりゃあ」
赤也と全国大会で組んだ時に付けられた
もう1つの呼び名。
"猛獣使い"と
「まさか、仁王にもそれを使うとは思いもしなかったが」
「ハハ」
「ゲームセット」
そう言って見ると
「7-5で立海大付属高校仁王勝利」
「嘘だろ・・・?」
「あの不二先輩でさえ勝てねぇのかよ」
コートの中にいる、雅治のそばに行って
抱きしめてあげたい
「行って来てやれ」