第5章 5
「これよりS2を始めます
立海大付属高校・幸村精市」
そう言った瞬間、青学がざわついた。
恐らく出てくるのは、雅治だと、思っていたのだろう
「やはり、お前だったのか」
「青学・手塚国光」
「考えていることは、お互い様だろう?」
確かに。手塚君はドイツでの経験もある。
プロになりたいと強く思って
プロからも声をかけられている存在だ。
でもそれは、幸村君だって同じこと。
「どっちが、勝つかのぉ」
立海は当然、幸村君を
青学は、手塚君が
勝つと思っている。
私だって、幸村君に勝ってほしいと思ってる。
後2試合。どっちかが負けてしまえば
差し入れ係決定だ。
「幸村君・・・」
手塚君のサーブから始まったゲームは
接戦となってしまった。
6-6という最悪の結果で。
「大丈夫?」
「あぁ」
例のドリンクを渡すと
「これは」
「懐かしいでしょ」
「あぁ。柳が作っても、この味ではなかったからね」
そっか。
「助かったよ」
「うん。頑張って」
「あぁ」