第9章 9
「正門に雅治、いるはずだから」
「そうか。気を付けろよ」
「ありがとう」
それだけ言うと保健室を出て
正門に行くと
寄りかかって待っている雅治の姿
「平気か」
「うん」
「平気じゃないじゃろ」
分かっているなら聞かないで欲しい
「荷物貸しんしゃい。もっちゃる」
そう言って、勝手に私の荷物を持ち始めた雅治
「疲れが出たんじゃろうな」
「多分」
「明日は、どうするんじゃ」
「行くよ」
あの教師たちに負けたくないもの
休んだら、あの教師と生徒たちに、負けを認めたようなものだもの。
「そうか。俺は明日立海に帰るナリ」
「うん」
「じゃが」
「心配?」
「当り前じゃ。自分の女が、倒れても
助けられん、この悔しさはどこにもやれん」
「ふふ」
「笑い事じゃなか」
「ごめんって」
「本当、心臓に悪いんじゃ」
「そうだね」