第9章 9
グラっと来た時には
すでに遅かった
「日暮!」
雅治の声も遠くに聞こえる
「ん・・・」
目が覚めれば、外ではなく
室内だということにすぐに気づいた
「あら。目が覚めた?」
「先生?」
「彼が、運んできてくれたのよ?」
「え?」
そこには、本を読んでいる不二君の姿
「何で」
「目の前で倒れてしまったからね。
1番近くにいたの、僕なんだ」
そう
「ありがとう」
「いいや。もう、大丈夫かい?」
「うん。なんとか」
「熱はなさそうだから、ゆっくりと
体を休めることも大事なのよ」
「はい」
確かにそうだ。
今まで、立海にいて体が休まることなんて
なかったのに
青学に来て少しだけ、気が緩んだのかもしれない
「日暮」
「橘君、佐伯君まで」
「これ、荷物だ」
「ありがとう」
橘君から荷物を受け取ると
すぐに帰ろうとする私を引き留めたのは
「1人で平気なのか?」
「うん」
橘君だ