第1章 再会
「ひどい!忘れちゃったの???マリナよね?」
その話し方とどこか面影があるようなその顔で
思い出話と現実がじっくりとリンクしていった。
「梅??」
噓でしょ??どうして??
という思いと共に、全身が喜びに沸き上がって胸がいっぱいになるのを感じた。
わたしが彼女の名前を呼ぶと満面の笑みで力いっぱい抱きついてきた。
「もう!思い出すの遅いわよ?ホントにぃ~!!会いたかったんだから~!!」
余りにもきつく抱きしめられても、久しぶりのその感じが凄く嬉しくて、わたしも抱きしめた。背中をさすりながら、全身で喜んでいる梅。
わたしは彼女のことを本当の妹のように思っていた。
彼女のお兄ちゃんも、わたしの本当のお兄ちゃんだった。
「梅。大きくなってホントキレイになったね!お兄ちゃんも元気?」
「元気よぉ~!!もう!!あそこがなくなっちゃって連絡できなくなっちゃったから、凄く寂しかったの!!もう、会えないのかって思っちゃった。」
ずっとわたしの身体をぎゅうぎゅうに抱きしめたまま、今度は泣いているようだった。
「ねぇねぇ、マリナ。お兄ちゃんももう少しでここ来るから、一緒にご飯しよ?」
人懐っこさはそのまま。
昔は、この子がお兄ちゃんお兄ちゃんって妓夫太郎兄ちゃんにべったりなのが、わたしにも同じようにしてきてくれた時凄く嬉しかったんだっけ?
あの時のようにいっぱい頭を撫でてやると、猫のように首元で頭をスリスリしてきた。
「お兄ちゃんにも会えるの?お兄ちゃんも一緒なの?」
「うん!当たり前じゃない!マリナがいて本当の当たり前なんだから!」
抱きしめていた手を緩めてふと梅の後ろを見ると、レジ袋をぶら下げて驚いたようにこちらを見ている、顔に痣があって懐かしい妓夫太郎兄ちゃんがいた。
「おい、嘘だろ?お前、マリナか?」
「久しぶり!妓夫太郎兄ちゃん!」
妓夫太郎兄ちゃんは、見せたこともない涙を浮かべてこちらに来た。
「おいおい。連絡できなくなっちまって心配したんだぜ?
大きくなったなぁ。マリナ」
筋張った大きな手がわたしの頭を撫でてくれる。
ぎこちないけど、優しい手つきは懐かしくて
梅がわたしにしたように思い切り抱きしめたんだ。