第1章 再会
「じゃぁ、こっちのデケェ山超えたら、たんとご馳走してもらうか。」
「ほんとですか?約束ですよ?」
「わかった。約束な。」
それからも仕事の話をひとつふたつして、ゴキゲンすぎる派手上司との通話を終えた。
マンションへと歩みを向ける。
今日は気分がいいから歩いて帰ろう。
街頭スクリーンには、赤い頭のイカレたバーコードモデルさん、唄のお兄さん張りの笑顔の見知った顔のお兄さん、世界の侍と言われた超絶美丈夫の3人組ダンサーのMVが映されてる。
鬼舞辻御三家と言われる彼らは一人一人が世界で大活躍する大物を集めた今注目のアイドルだ。
”ねぇ、アタシらさ、絶対大人になったら一緒にアイドルやろうよ”
ふと、昔にした友達の約束が蘇る。
あの子はどうしてるかな...。
もう、あの園を離れてお父さんお母さんに引き取られて10年になる。
鬼舞辻御三家と呼ばれるアイドルグループ”upper moon"
の一人”童磨”は私が小学校時代を生きた”にじいろ園”の施設長の息子さんだ。
幼い頃、同じ施設で共に育ち一番仲が良かった梅とその兄の妓夫太郎兄ちゃんと4人でよく遊んだ。
あの日々が凄く懐かしい。
にじいろ園の不正で、警察沙汰になって閉園してから疎遠になってる3人。
梅と妓夫太郎兄ちゃんはどうしているのかな?
元気かな?
わたしは、お日様にも長くいられないし、体力もない。
だから、裏方の仕事しかできなくてこの仕事を選んだ。
そんなわたしをあの人たちが見たらどう思うかな。
お人形さんに洋服作ってたの、3人が凄く褒めてくれたのが鮮明に思い出せるから、
一人が夢を叶えて、雲の上の人みたいになっちゃって、幸せそうにしているのが嬉しくもあり、寂しくもある。
わたしの事、覚えてるかな?
「ねぇ!ちょっとアンタ...。」
ガシッっと後ろから強く肩を掴まれた。
驚いて勢いよく後ろを振り返った。
そこには、マスクとサングラスと白銀の髪が綺麗な女性。
まだ、肌寒い夜に合わせて、淡いブラウンのスプリングコートにマカロンカラーのコーディネートが良く似合っていた。
「やっぱり...。」
「えぇ.....っと.....。」
女性はふわっと笑顔になり、それが一際美しくも可愛らしいく思った。
知り合いに居ませんよ?こんな美しいオーラ全開の人。
でも、
どっかで...。