第2章 夢へのRestart
縁壱に見送られてオフィスを出た3人は手配されていたタクシーに乗り込んだ。
「ねぇ、このままアタシたちのマンションに泊まりなさいよ。」
と梅に誘われて、マリナの疲れ切った脳と体は流されるままにそうすることにした。
「でも、マリナお姉ちゃんがあんなに思ってくれてよかった。Upper Moonの所に行っちゃったらどうしようかって思ったんだからね?」
「ありえねぇだろ?マリナが俺らの誘いを断ってまであっち付くような女ならあの場で俺らを断ってたろ。」
「それもそうね。さすがマリナお姉ちゃん!!シャチョーもご満悦だったわ!ホント尊敬しちゃう。」
梅はマリナの腕を絡めるようにくっついて、頬の高さにある肩に頬ずりをした。
体温が僅かに高く感じる事から、眠いのだろうと察して幼い頃の彼女の癖を思い出す。
「まだ、梅が言ってくれるように自分に満足してるんじゃないのよ?だからって手を抜かないから、必ず童磨さんに追いつけるようになろう?」
鬼舞辻が去り際に置いて行った言葉を思い出してそう声をかけた。
「あぁ。世話になったんだ。必ず並んで見せてやろうぜ?さっき社長から出た言葉によれば、童磨さんは間違いなくマリナには気づいているからな。」
「それを言うなら、妓夫太郎お兄ちゃんにも気づいてるってことじゃない。童磨さん、頭凄く良いんだから。」
「だといいんだがな。」
いつの間にか到着して停車したタクシーを降りては、深夜の空を仰いだ。
まだ、再会を果たしていない童磨をそれぞれが思いながら、きっと彼に追いつこうと決意した3人。
無意識でだろうか、彼ら3人は幼い頃のように手をつないでは、これからのいばらの道へと歩む決意を胸に闘志を燃やしていた。