第2章 1日目
ドアをノックするとシルビアがすぐに扉を開けてくれた。
「、待ってたわよ。」
まだシルビアも服を着ている。部屋に入るとふわりと落ち着く香りがした。
ローズやラベンダーにバニラが程よく混ざっている香り。
「これの香りは? 」
「あなたを待っている間にダーハルーネで買ったアロマキャンドルを出したのよ。
まだ火は灯けてないけどね。」
「いつの間に買ってたんですね。」
「いい香りでしょ?」
「はい。とても…!
…えっとそれで…」
は体をモジモジさせた。
「脱いでる間はお互い背中を向けるのはどうかしら?
アタシは脱いですぐに明かりを消してキャンドルを点けるわ。」
そう言うとシルビアはサッと後ろを向いてベッドの方を向いた。
は安心してバスローブの帯を解いてするりと、バスローブを床に滑らせる。か細い声で脱ぎましたと言うとふわりとさっきより香りを感じた。
「アタシも準備出来たわ。じゃあ振り返るわよ?」
はゆっくりと振り返りシルビアを見る。
シルビアも振り返り、距離を空けて立っていた。
【1日目はお互いに裸になり見つめ合い
お互いの体を観察して気持ちを高めるべし】
本にはそう書かれていたがは、恥ずかしさ故にそんな余裕がなかった。
「……なんか、思ってたよりすごく照れくさいわね。」
シルビアが目のやり場に困ったのか明後日の方向を見る。
「…そ、そうですね。…でも。
ちょっと…う、嬉しぃ…です。」
は恥ずかしいのを堪えて、シルビアの体を見つめた。
「シルビアさん…思ってたより体ガッチリしてたんですね…。」
「え?そう?」
「グレイグさんと並んでる時は、なんて言うかすごく華奢だなぁって思ってたんですけど…。
……やっぱり男性なんですね。」
は改めて感じた。
厚い胸板に割れている腹筋、盛り上がった腕にしっかりした肩幅。
改めて見ると自分との違いがはっきり分かる。
「…なんだか変な感じね。あなたにそう言われるなんて。」
照れているせいかシルビアはおでこに手を当てた。