第29章 2人の思い1
貴方side
迅「違うよ城戸さん、交渉しに来たんだ」
…交渉…?
鬼怒田「交渉だと?!裏切っておきながら」
唐沢「いや、本部の精鋭を撃破して本部長派と手を組んだ。戦力で優位に立った今が交渉のタイミングでしょう」
迅「こちらの要求は一つ、うちの後輩空閑遊真のボーダー入隊を認めて頂きたい」
迅さんが口にした要求内容、空閑のボーダー入隊を許可すること
鬼怒田「何ぃ?どういうことだ!?」
迅「太刀川さんが言うには、本部が認めないと入隊したことにならないらしいんだよね」
唐沢「なるほど…"模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる"か」
根付「ボーダーの規則を盾にとって近界民を庇うつもりかね!?」
城戸「…私がそんな要求を飲むと思うか?」
貴「・・・」
迅「勿論、タダでとは言わないよ。代わりにこっちは"風刀"を出す」
貴/全「!?!」
風刀を、手放す…?
迅さんの眼は、揺らぐことなく真っ直ぐな瞳。真剣な顔から本気だと伺える
迅「うちの後輩の入隊と引き換えに"風刃"を本部に渡すよ」
鬼怒田「本気か迅!」
根付「なんと…!」
唐沢(そう来るか…)
迅「そっちにとっても悪くない取引だと思うけど?」
城戸「…取引だと?そんなことをせずとも、私は太刀川たちとの規定外戦闘を理由におまえからトリガーを取り上げることもできるぞ?」
迅「その場合は当然、太刀川さんたちのトリガーも没収なんだよね?それはそれで好都合、平和に正式入隊日を迎えられるならどっちでもいい」
城戸「っ…」
貴「城戸司令」
城戸「…?」
ドンッ
貴「私の"夜月"と一緒に、空閑の入隊を認めて下さい」
迅「!?」
全「!!?」
黒トリガーを城戸司令の前に置く、迅さんは驚愕な表情
迅「っっ怜花!!何してんだ!?黒トリガーを渡すのは俺だけで」
貴「迅さんのだって大切な形見でしょ!!」
迅「!」
向き合いながら本心を伝える