第3章 サファイヤ
自分の持ってきた荷物の片付けが終わり、何となくテレビをつけてみる。
飛び交う会話はもちろん韓国語だ。
そういえば韓国にいるという事実だけで、ここがどこかも分からない。
日本からずっと一緒だったパクさんも一体何者だったのか…。
答えの出ない考えをぐるぐると巡っていた時、ドアの向こうから声が聞こえた。
RM「すみません、○○さんいますか?
ナムジュンです。準備できてるようでしたら、宿舎一緒に回りましょうか。」
○○「はい!今出ます!」
ドアを開けたら上下グレーのスウェットを着たナムジュンさんが立っていた。
最初会った時は気づかなかったけど、こうして見るとかなり背が高い。
RM「じゃぁ、案内しますね。」
1階の間取りはリビングとダイニングが一部屋繋がっていて開放感のある空間になっている。
その部屋から外に出るとウッドデッキがあり、夏はよくBBQをするそうだ。
お風呂は大浴場になっていて、まるで旅館のようだった。
男女両方用意されている。
○○(ん?確か女性は来たことないって言ってたけど、なんでお風呂が2つに分かれてるんだろ…?
いや待てよ、実は今までの話は全部嘘で、本当はトップアーティストの為に定期的に美女を送り込んでいたのでは?!
そして、あんなことや、こんなこと…/////)
RM「ここは元々大企業の社長さんの別荘だったんだ。
いろんなお客さんを呼びたかったからか、浴場は男女両方作ったみたいだよ。」
○○「ぁあぁ!そうなんですか!」
咄嗟に返事をしたからか声が裏返ってしまった。
○○「変なこと考えてごめんなさい…。(小声)」
RM「ん?変なことって??」
○○「あ!いや!なんでもないんです!」
○○(………私のバカ///)
1階だけでも全部見て回るのに結構時間がかかった気がする。
後から聞いて分かったが、最初に皆と出会った場所はリビングではなく会議室とのこと。
○○(リビングダイニング、キッチン、会議室と大浴場。
私の部屋の向かい側にトイレ。
そして長い廊下…。)
この仕事は体力勝負なのかもしれない。
気が遠くなりそうな宿舎の広さに、私は唖然とした。